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2019年07月16日21:11

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「ドーキー古文書」

読書日記
「ドーキー古文書」
フラン・オブライエン
 作

アイルランド・ダブリンにほど近い海辺の町ドーキー。偶然出会った男は化学兵器によって人類絶滅を企むマッドサイエンティスト。また時間を自由に操作する方法も知っている。この危険人物の陰謀を阻止するため秘密裏に計画を実行する青年は、ふとしたことから死んだとされる文豪ジェイムズ・ジョイスに出会うことになる。

話が始まるやいなや海底の洞窟に連れて行かれて、古代キリスト教の教父アウグスティヌスの霊体に出会うという奇矯な設定(このアウグスティヌスがまた妙に俗っぽい奴でおかしい)。ここまでとんでもない事件から入りながら、この件はほったらかしで主人公の身辺へと話は収束していく。
また才媛である彼女が登場していかに事件を切回していくかと思いきや、その後ほとんど登場しない。マッドサイエンティストの企む化学兵器の構造も謎のままである。

このように冒頭振られた大きな伏線(伏してないけど)が回収されずに、凡庸な神父や呑気な警察署長、借金に苦しむ友人などが登場して話がスケールダウンしていく。
かと思いきやなんと死んだことにされている国民的大作家ジェイムズ・ジョイスがひっそりと生きていて、主人公との交流が始まる。

そんなわけでどこへいくやら案内人なしの、行き当たりばったりで書いた感のある長編だが、とりあえず面白い。作者はベケットやジョイスに評価された才能だが、心地よい喜劇といった印象で、なんの心配もすることなく楽しむことができる。
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