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2016年04月18日20:11

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「友は野末に」

読書日記
「友は野末に」
色川武大
 作

最後の無頼派といわれた著者の九つの短編と対談集。思い出話や昔話だが、こんなこと小説にならないだろうといった、なんてないことをうまく料理して読ませてしまう。すごく面白いわけではないが通俗小説の風味のようなものがある。

ただ子供のころから学校をサボって、思春期には立派な博打打ちとなっていた人だけに思い出話といっても普通の人間とはちょっと違う。風来坊のような青春だが、肩で風を切って歩いていたような風情ではなく、おびえながら仕方なく人と交わって寂しさをごまかしながら生きている様子だ。そんなすぐにでも折れそうなさ彷徨う心が感じられて馴染みやすい。名作「狂人日記」に繋がるものがある。

巻末の色川夫人のインタビューが、ナルコレプシー症でもあった作者の波乱含みの日常を明らかにしていてわくわくとする。
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