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2011年01月18日06:17

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柿衞文庫を訪ねて 『殘し柿』

この作品は自作の詩や小説、隨筆などを讀んで戴く時に、BGMとして流さうと思ひつき、樣々なヴアジヨンを作らうとした内のひとつで、今囘は、

『YAMAHA QY100 Motion1(Mirror) &(Substance) 柿衞文庫(KAKIMORI BUNNKO)
Takaaki Mikihiko(高秋 美樹彦)』

で作つて見ました。









     殘し柿

 
 去年の暮も押し迫つた十二月の初旬に、妻と一緒に「柿衞(かきもり)文庫」へ出かけた。
 その時の映像と音樂は、すでにこのコミユニテイで何度も紹介濟みである。
 その中で、館内から見える見事な庭園に柿の木があつて、そこに鳥が實(み)を啄(ついば)んでゐるのを見ながら、

   衞り切るいのちの糧や殘し柿 不忍

 といふその時に詠んだ句を發表した。
 『衞り』は「まもり」と讀み、辭書(じしよ)によれば「衛(ゑい)」の舊字(きうじ)で、「護衛」などに用ゐられてゐるので詳細は不要だと思はれる。
 當初(たうしよ)、下五句を「殘り柿」と詠んだのだが、直ぐに氣がついて「殘し柿」と改めた。


 近年、都會では鳥や獣が人間の放出する「生ごみ」に群がつて、對策(たいさく)を講じなければならないやうになつてゐる。
 それが次第に廣(ひろ)がつて、自然の多い筈の田舎においてさへ、それまで滅多に現れなかつた彼等が人里にまで出現するやうになつた。
 気候の變化(へんくわ)で、山の木の實が不作だと云ふ原因はあるかも知れないが、それよりも問題は山や森林を管理する村に定住する人々が高齡化で人員不足となり、生活環境も都會化されて電化製品を使用するので、雜木林を間伐して焚き木に使ふ薪(まき)を必要としなくなつて、山林が荒れてしまつてゐるのが大きな原因ではないかと思はれる。


 妻の實家でさへ、風呂を利用するのに太陽熱によるお湯の利用と、瓦斯(ガス)と薪による方法で沸かしたりしてゐたが、家の改修をするのに風呂もついでにといふ事で新しくしようとしたところ、需要者が少ないからか、太陽熱や瓦斯や電氣を利用する製品はあるが、薪にも對應出來る風呂釜がもう生産されなくなつてゐるといふのである。


 糅(か)てて加へて、竃(かまど)さへ廢棄しようとしてゐた。
 けれども、暮の餅搗(つ)きで簡易な市販の「餅搗き器」を購入したので、それで屋外に出て餅を搗かうとしたのだが、あまりの寒さに昔ながらの竃を使つて三和土(たたき)で餅をつく事になつた。
 かくてその有効性が認められ、竃は延命の運びとなつた。
 僥倖(げうかう)の到りである。


 以前、誰かの日記のコメントに、天變地異が起つて電気や瓦斯の供給が寸斷されても妻の田舎の生活生命線(ライフライン)は安泰だと書いた事も怪しいものとなつてしまつた。
 このままではライフラインばかりでなく、親から子へと傳(つた)へられる農業の技術情報(ノウハウ)も、途絶えてしまふ可能性があるといふ危機的状況ではないのかと心配される。


 ノウハウとは、例へばどの時期に種を植ゑれば良いのかといふだけでなく、それからの補助(フオロオ)ひとつで作物の出來が違つて來るのである。

 「大根ができた」

 といふ妻の發言に、

 「出來たんぢやない、作つたんぢや」

 といふ祖母の名言に、事の重大な秘訣が隱されてゐると思ふのは、筆者の穿(うが)ち過ぎばかりではないのではあるまいか。


 いつの頃からか、商品價値があるからといつて杉の植林が多くなつてゐるが、動物の食料になる雜木林の崩潰によつて、環境そのものが維持出來なくなつてゐる。
 その上、人手不足で管理出來なくなつたり相續問題で山林を手放さなければならなくなつて、それを海外の人が入手する事態にまでなるといふ深刻な問題となつてゐる。
 江戸時代の幕府は日本の森林を守つたといふが、所有者が海外の企業や個人がそれを保持してくれるといふ保證は何處にもない。
 今こそ、開發をする事と管理をする事の意味を考へ直さなければならない時期に來てゐるのではないか。


 農地に鹿やなどの動物が侵入して田畑を荒らす時、案山子や鳴物で侵入する動物を追ひはらつてゐたのが、今では電流を通した線で圍(かこ)ふやうになつてしまつた。
 昔の人はその周りに食料となる捨て地を用意したり、墓の供物(そなへもの)や雜木林を作つて防波堤としたのである。
 勿論、彼等がこの陽動作戰にいつでも應(おう)じてくれる譯ではなく、田畑が荒らされるのは相變らずなのだが、最近では持つて歸るやうに言はれてゐる墓の供物は、鳥や獣だけでなく行き倒れの人の命さへ救つたかも知れないから、さう考へれば今よりも共存する意識は極めて高かつたのではないかと思はれる。


 その根據の一端が、この「殘し柿」である。
 これは柿に限つた事ではないのだが、果物を収穫する時に全てをとらずに上の部分の果實を鳥の爲に殘しておくのださうである。
 祖母流にいへば、

 「殘つてゐる」のではない。

 「殘してゐる」のである。

 從つて、「殘り柿」ではなく「殘し柿」となつたのである。
 そこには衞(まも)るのは自分たち人間の命ばかりではなく、他の動物の命も考へて地球の住人(?)として共存して行くといふ願ひが感じ取れるのではなからうか。

   衞り切るいのちの糧や殘し柿 不忍


 とここまで書いて、筆者には衒學(げんがく・Pedantry)的なところがあるから、作品を讀まれる方は鼻につくかも知れないと考へる事がある。
 戒めなければならない惡癖なのだらうがと反省はするのだが、文章を表現する手法(スタイル)のやうになつてしまつてゐてなかなか直りさうもない。
 と結局は開き直つてしまふ。


     二〇一一年正月十五日午前四時半






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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 09:13
    残り柿→残し柿…なるほどぉです!

    同じ3文字なのに、「残し柿」のほうにより温かい感じます。

    日記を拝読しながら
    「猫楠−南方熊楠の生涯」水木しげる

    を思い出しました!

    連続テレビ小説でこんなのもやってくれたらいいのにと思います。

    テーマソング♪は勿論ケンタウロスさんご担当でわーい(嬉しい顔)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 12:08
    コンドルさん

    讀んで戴き有難う御座います。

    眞逆(まさか)『南方熊楠』が出て來るとは思ひませんでした。

    『連続テレビ小説でこんなのもやってくれたらいいのにと思』

    はれるとは思ひませんでした。

    きつと面白いでせうが、

    『テーマソング♪』

    をわたしにだなんて、

    荷が重すぎますヨ。

    買被られては困ります。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 12:39
    いつもは時間がある時にゆっくり拝読しないと失礼に当たると思いますが、今日は柿が好きなんで読みに伺いましたよ〜わーい(嬉しい顔)手(パー)ぴかぴか(新しい)

    管理する人や使いこなす人の絶対数が減少するから文明が変動するのかも知れないとも思うんです。

    放っておけば楽な方へ流れたがるのは本能の一部かも知れないと、税金を恐れて不動産経営に興味を持ち、先祖の土地を切り売りしたがる地主さんの御相談や、五体満足に生まれながら寝た切りヒッキー実践中の若者の悩みに耳を傾ける仕事をしながら、考えたりもします。

    努力しないで結果を手に入れる事を、御金を払ってプロに任せる事や、簡単便利な機械を購入して暮らしを楽にするのと混同されている人が少なく無いのも現状です。

    「出来る」「貰う」を待つだけの人より、「作った」「残して上げた」人が、意識的に増える方が良いですね、これからは。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2011年01月18日 13:52
    Q-P DANCEさん。

    ご無沙汰です。

    人の心を援助(ケア)されて、

    導いて行くと云ふお仕事をなされ、

    樣々な人生に觸れられるので、

    豊かな見識を備へてをられろ方の意見は

    重みがあるものだと、

    つくづく感じ入ります。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2012年09月12日 07:38
    テーマソング発売の際は当社から是非お願いします。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2012年09月12日 07:47
    えみみ さん。

    猫をかぶつておきます。

mixiユーザー

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