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2020年08月02日00:40

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通勤路の花々シリーズ311 天鵞絨毛蕊花(ビロードモウズイカ)

 被子植物門双子葉植物綱シソ目ゴマノハグサ科 Verbascum thapsus
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 ヨーロッパ・北アフリカ・アジア原産の二年性植物で、西はアゾレス諸島・カナリア諸島から東は中国西部まで、北はブリテン諸島・スカンディナヴィア半島・シベリアから南はヒマラヤ山脈まで広範な自然分布域を持ちます。北ヨーロッパでは低地から標高1850mまで、中国大陸では1400〜3200mまで分布しています。
 大きな葉のロゼットから伸長した長い花穂に黄色い小花を密集し、高さ2m以上にもなる毛深い植物です。
 ある種の粘液や幾種類かのサポニン・クマリン・配糖体等を含むため、収斂作用や皮膚軟化剤として効果があり、古代から皮膚や喉や呼吸器の病気等の治療に使われて来ました。古代ギリシアの医師ディオスコリデスは肺病に対して推奨しています。現在も健康関連やハーブ関連の店で広範に扱われています。但し、種子や葉には劇物に指定されているロテノンが含まれているので注意が必要です。染料や松明等にも利用されています。
 アメリカ合衆国へは18世紀初頭に輸入され、薬用や毒流し漁のために栽培されました。1818年にはアメリカの植物学者エイモス=イートンが誤ってアメリカ自生種と記してしまう程度にまでアメリカ中に広がり始めていました。 1839年にはミシガン州、1876年にはカリフォルニア州で記録され、現在では全ての州で普通に見られます。
 カナダでは、沿海地域から南ケベック・オンタリオで見られ、空白地帯を挟んでブリティッシュコロンビアでも広がっています。
 その他、オーストラリア・ニュージーランド・熱帯アジア・フランス領レユニオン・ハワイ・チリ・イスパニョーラ島(ハイチ・ドミニカ)・アルゼンチン等で雑草として帰化しています。
 日本では、明治時代初期に観賞用として導入され、現在では全国各地に溢出して市街地から山間部の道端にまで広く見られます。日本に於ける分布域は30以上の都道府県に及び、完全に定着しています。
 裸地・荒地・砂地・石灰質土壌の先駆植物として最も頻繁に成育し、土手・草原・道路脇・伐採地・牧草地等を含む多様な環境で成育出来ますが、乾燥した砂礫土壌で最も良く育ちます。
 日当りの良い撹乱された土壌では、大地が光を受ければすぐに、その場所の土壌シードバンクに存在していた寿命の長い種子から成長する事が可能です。豊富に生産される種子によって広がる普通な雑草ですが、種子の発芽には開けた土地を必要とするため、攻撃的な外来種となる事は殆どありません。他の植物の陰に耐性が無く、耕起後に生き延びる事も出来ないので、大部分の農作物に対しては大した害になりませんが、多種の昆虫に対する宿主でもあり、それらの昆虫の中には農作物の害虫も含まれます。
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