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2019年12月14日02:32

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労働党の惨敗はリベラルの敗北なのか

 いわゆるブレクジットは、2016年6月の国民投票によって、英国の方針と位置づけられた。多くの人たちはこの結果を予想せず、当然のことながら混乱と当惑の声が聞かれた。それから三年半、総選挙や首相の交代を経ても、EU離脱の時期やその内容は決まらず、すったもんだの末、二度目の総選挙が行われることになった。

 結果は、保守党が前回を大きく上回る365議席を得て圧勝、下院での過半数を大きく上回った。保守党は、EU離脱の方針を打ち出して勝利したことから、膠着していたブレクジットも大きく動く公算が強まった。

 一方、労働党は議席を大きく減らして203議席にとどまる見込み。2010年に政権を保守党に明け渡してから、労働党は支持が伸び悩んでいたけれど、今回の総選挙は支持層の底がさらに抜けたかたちになった。

 今回の事態には、EU離脱を行うにせよ、見直すにせよ、国民投票から三年半経っても何も決められない状況に、有権者の多くがうんざりしていたことが要因だったことは間違いない。保守党は、"Get BREXIR Done"を合言葉に選挙戦を有利に進めていたけれど、労働党はEU側と離脱交渉を続けながら、二回目の国民投票も行うという、公約としてもはっきりしない態度であった。
 ただもっと言えば、労働党はブレクジットに対して強力に反対する人びと、離脱を進めるべきと考える人びとなど、態度の違う支持者の前に引き裂かれたところもあったというべきだろう。おまけに、過去には大票田だったスコットランドの選挙区は、地域政党であるスコットランド国民党が議席のほとんどを抑えてしまった。EU離脱に消極的な姿勢をみせたスコットランド国民党は、それでも議席増になった。これは、イギリスのEU離脱とともに、スコットランドが英連邦から独立する可能性を高める結果ともなっている。

 このことから、「リベラルの敗北」と捉える人たちも少なくないけれど、それは必ずしも正しいわけではない。というのは、保守とリベラルの間で分極化が進んでいるのと同じく、リベラル内部でも同様の状況になっていることを示しているからだ。
 イギリス社会が混乱して影響をまともに受けている貧困層は、より強いリベラル志向を持ち、中道路線と折り合いがつかなくなっている。リベラルが弱まっているのではなく、それが多様化した結果、既成のリベラル政党が彼らすべての受け皿となり得なくなっている。このことが今回の労働党惨敗につながったのではないだろうか。

 こうした現象は、アメリカの民主党にもいえることであり、日本でも野党の合流が進まないのは、選挙区ごとの事情(候補者調整の困難)もさることながら、「リベラル」としてまとまらない分極化が起こっているからでもあるのだろう。

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■英総選挙、保守党が過半数を獲得 EUからの離脱決定的
(朝日新聞デジタル - 12月13日 15:47)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5900817
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