真冬のような寒さから、今日のような穏やかな日和に戻ると、子どもの頃、一緒に過ごしたイヌのことを思い出す。彼は私が7歳くらいの頃に家にやって来た。生後数か月の子犬で、どこからか貰われてきた雑種であった。
来たときは、人が近くにいないだけでキャンキャン鳴く寂しがり屋で、夜になっても鳴きやまなかったので、その日は一緒に眠りたいと親に懇願したのを覚えている。
その後は、一緒に飼っていた老犬ともすぐ慣れて、腕白に育っていった。散歩に連れ出したら、私は引きずられるように走らざるを得なかった。これでは、どっちが散歩しているのか分からない。
ある日、私が庭で石につまずいてヒザを擦りむいたとき、近くに寄ってきて、顔をなめてくれた。たぶん、血の匂いから、ケガをしたことを悟って心配してくれたのだろう。普段は、自分の子分みたいにこちらを見ていたフシもあったけれど、そういう配慮もすることがあるのだと感じて、少し嬉しかった。
そんな子犬も、いつしか老境に差しかかり、落ち葉の散る季節になると、日だまりに腰を下ろすようになった。昔のように走り回ることもなく、ただそこにいるだけなのだけれど、不思議と貫禄のようなものがあって、いまでもその表情をよく覚えている。
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■イヌは人に共感できる! 科学的実験が証明した
(AERA dot. - 12月07日 07:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=5892843
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