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2019年01月21日21:24

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フランスで起きていること

 フランスのいわゆる「黄色いベスト運動」は、当初は燃料税の引き上げに対する抗議として伝えられていたものの、政府がその実施を延長すると発表して以降も、継続して行われている。私たちがメディアを通じて見る運動は、だいたいがパリの状況だけれども、実際は周辺都市でも起きており、なかには略奪や暴動なども発生しているようである。

 運動の主体は誰なのか。一般的には、支配階級(エスタブリッシュメント)に反発する中間層、労働者層といわれているけれど、それを単純に格差社会への反発と捉えていいのかは、実のところ、よく分からない。

 というのも、運動の主体が、増税を伴う緊縮財政からの転換を求める庶民たちという構図を描いたとして、仮にそれでマクロン政権が打倒されたとしても、フランスが直面している問題の解決には結びつかないからだ。
 緊縮財政の撤回は、すなわち加盟するEUの方針に反することになる。では反EUがフランスの景気回復や失業率の改善につながるかといえば、そうとも言えない。経済規模の大きいEUの主要国であることが、フランス経済に与えている利益も決して無視できないからだ。

 そして支配層に対する中間層、労働者層といっても、決して一枚岩ではない。たとえば移民政策について、それが失業率を高めているのだと排外的な姿勢でいる人びともいれば、人道的な観点からそれを認める姿勢の人たちもいる。イデオロギー的な違いもある。そうした複合的な問題に、国民的な合意があるわけではない。したがって、仮に政権が変わったとしても、そこからさらに分裂が繰り返される可能性は高い。そもそもマクロン大統領を誕生させたのも、若くて有能、清新なイメージの彼を多くの国民が支持したからである。しかしわずかな間に、その支持は失われてしまっている。

 フランスに限ったことではないけれど、いわゆる極右政党(反EU、反移民)の台頭は、社会の右傾化をもたらしているというのは一面的な見方であろう。EUや移民政策への評価、増税と社会保障制度のバランス、イデオロギーなど、多様な対立軸があるなかで、社会の合意が得られにくくなっていることこそ、いまのヨーロッパで起きていることといえる。あるいはいまの日本もまた、そういう社会になりつつあるのかもしれない。

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フランスで反政府デモ 10週連続 8.4万人参加
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=5464527
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