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2019年01月12日16:13

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2019年の日韓関係

 2019年はじまりの日韓関係も、好転する兆しが全くない。元徴用工の判決に慰安婦財団の解散、さらに韓国の駆逐艦からのレーダー照射と、これまで日韓関係の安定に力を尽くしてきた人たちは、頭を抱えるばかりのことが起きている。

 日本で展開される論調は、韓国政府に対する失望や怒り、今後の両国関係への不安といったものが多い。日本を意図的に挑発しているのではないかという「陰謀」論もまことしやかに語られている。

 もっとも、外交関係の悪化は、一方が意図的な挑発を繰り返した結果という事例をあまり聞いたことがない。相手にとってはそう見えるものであっても、当事者にとってはそうではないということのほうが多い。
 日韓関係の悪化については、背景として「韓国政府が日韓関係にあまり関心を持たなくなっている」ことと、「政権交代後、韓国政府内の各セクションの連携が十分に機能していない」こと、さらに「日本政府と韓国政府の間で、国際関係を認識するチャンネルがずれている」という点が挙げられる。

 韓国にとって、これまでは過去の出来事も含めて、よくも悪くも日本は無視できない存在だった。しかし、中国の存在が極大化し、北朝鮮外交にリソースを多く割かなければならない以上、日本への関心は相対的に低下せざるを得ない。もっとも、日本がどうにかすれば、韓国の姿勢が変わるかという問題でもない。政治的にはもちろん、経済的にも日本の比重が低下している以上、今後どういった政権になったとしても、韓国にとって日本への基本姿勢は大きく変わらないとも考えられる。日本も、そうした前提を踏まえた関係の再構築を行う必要がある。

 また、韓国の政権交代は、朴槿恵前大統領が弾劾によって失脚した上で起きたことであり、政府内でも大きな変動があったと考えられる。日本でも、自公政権から民主党を中心とする連立政権に移ったとき、政府内で少なからぬ変動と混乱があったことは記憶にも新しい。それ以上の変化があり、人事的にも、政策的にも十分な連続性が担保されなかった結果、個々の問題について情報の共有ができていない可能性がある。
 その問題の対象が、政府当局にとって関心の低い日本であった場合、やはり対応も十分でなくなるだろう。日本を軽視しているというより、対応する用意すらなかったということかもしれない。

 そして、アメリカは日韓にとって同盟国だけれど、日韓両国は軍事同盟を結んでいない。韓国政府は、北朝鮮問題について主にホワイトハウスからの情報を参考にしているのに対して、日本は国務省や国防総省からの情報をもとにしている。いま、アメリカ政府もホワイトハウスと各省でスタンスが一致していないことは周知のことだけれど、その余波が日韓関係にも及んでいるようにも思われる。日本にしてみると、気まぐれなトランプ政権よりも、実務を担う国務省や国防総省からの情報のほうが信頼がおけるとみているけれど、韓国政府はむしろ米朝協議を主導するホワイトハウスの動向を注視しているわけだ。
 これでは認識が一致することはなく、むしろ混乱と誤解によって不信感が広がることになりやすい。

 日本に限らずどの国でも、外交は連続したものとして捉えがちである。だから、政権交代などが起きて、その国の方針が大きく変わると、混乱や猜疑が生じやすい。
 ただ、その変化が政権固有のものなのか、それともその国の本質的なものなのか、これは冷静に分けて考えるべきだろう。韓国政府についていえば、日本に対する重要性は年々低下している。そしてそれは日本の国力が低下しているからという要因はあるにしても、グローバル化のなかで一国の比重が低くなるのは当然ともいえる。そこに日本の自尊心的な感情を入れてしまうと、かえってややこしくなる。
 また、韓国政府の姿勢そのものが問われている面も確かにある。雇用や経済政策で混乱が起きており、支持率も下がってはきているけれども、先の大統領弾劾後、保守政党が低迷したままであり、大きな変動が直ちに起きるとは、いまのところ考えられない。ただ現政権との折り合いが悪い以上、両国関係の正常化は次期政権に委ねるという選択肢もアリとは思う。日中関係も、かつては悪化する一方だったけれども、ここ数年は安定している。もちろん、安全保障について火種は抱えているが。

 アメリカもヨーロッパも、政治は決して安定しておらず、東アジアにおいても政治、経済ともに不安定な状況が続いている。2010年代に鮮明となったあれこれをどう調整していくのかが、2020年代の最初の課題となるのだろう。そうした過渡期であることを意識することと、そうである以上、私たちがこれまで抱いてきた各国との関係や認識にも修正を迫る時期なのだという自覚が求められる。
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