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2018年12月11日16:57

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駐車場の町

 実家の周辺で、いま過疎化が急激に進んでいる。といっても、村落の話ではない。昔からの住宅地である。
 根本的なところとしては、高齢化があり、世帯が分離してしまっているので、引き継ぐ人がいないことだ。建て替えして十数年くらいでも、空き家になっているところがいくつもある。そうなると、本来ならば相続が発生した段階で、土地や建物を売却すればよく、少なくともそうした需要はまだあるのだけれど、そういうサイクルが近年は特に起こりにくくなっている。ちょっと前までは、会社の社宅が取り壊された後、白亜の豪邸が建つこともあったのだけれど、それもいまでは見られない。
 代わりに、宅地跡がそのまま駐車場になるケースが増えている。相続後の土地活用として、売却をせず、駐車場にするだけでなく、競売にかけられた土地まで駐車場になっている。つまり、家もマンションも建たない。

 マンションについては、低金利が続いて建設が相次ぎ、空室率も高止まりしていることが挙げられる。築十年もすればメンテナンスも必要になるから、思うほどの利回りが得られない可能性は、これからますます高くなる。
 その点で、駐車場であれば費用はかなり抑えられるだけでなく、将来的に売却するのも簡単である。このあたりがここ十年で駐車場だらけになっているのも、需要があるからで、駐車場としても、それなりの利益が得られる。マンションを建てたはいいけれど入居率が低く、建設費をペイできないというリスクもいらない。それならわざわざ土地を手放す必要もないということになる。
 さらに、競売にかけられた土地まで駐車場になっている。これについては採算が合うのかは謎だけれど、増えているということはそれなりのうまみもあるのだろう。

 結果的に、周辺から暮らしの音がなくなり、街のなかなのに過疎化が進んでいる。

 もうひとつ不思議なのは、土日以外、時間貸しの駐車場は満杯で、月極も人気が高いということだ。これだけ駐車場だらけになってもなお、需要があるということは、それ以前の住宅地ばかりの頃はもっと需要が高かったということになる。地方都市というのは、多かれ少なかれ車社会なのだから、乗用車を止めるスペースは必要になるのは当然かもしれないけれど、それにしたって周辺で宅地面積の二割くらいが駐車場になっても、まだ増え続けていることには当惑しかない。

 特に、時間貸しの駐車場がガラガラになる土日になると、街から音が消える。何だか大みそかの夜みたいな状態がずっと続いている。
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