職業に貴賎なし

AV問題、HIV感染への対応策は
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よくこの手の問題で
「AVなんてやめろ」
「見ないからどうでもいいから廃止」

などといっている人がいるが、そんな事でなくなるほど世の中単純じゃない。

この手の性の産業は人類の歴史ともに「闇」で栄えて来た古く長い歴史がある。しかも人類共通のね。

例えばモデルの起源は人身売買であるし、中世の欧州じゃ処女は全部教会の神父に奪われてきた。「性産業を禁止している」アメリカでもコールガールはあるわけで、アムステルダムには「厳正に管理された」風俗街がある。しかも観光地のすぐそばに。海外ポルノは無修正本番、アナルSEXまである。

そして東南アジア、極東もいうに及ばず。つまりこの手の話は人類の宿命、あるいは闇の部分といっていい。

どんなにAV見ない人でも「一生SEXなしで生きていく」なんて土台無理だろ。それはAVがあるからではなく、性欲という「本能」をそぎ落とさない限り無理。そしてそれは「種の滅亡」を意味する。どんな動物でも性欲と食欲と睡眠の欲は備わっているから。

大事なことは「闇に目を背ける」のではなく「ちゃんと対峙して向き合う事」であり、それは「人間に性産業は必要である」という事。

しかしそれは「奴隷」を産出することではなく、ちゃんと職業として認め、一般定義における社会権市民権を持たせることをするべき。分かりやすく言うと、八百屋の親父や弁護士や学校の先生、会社員、と同じように扱う。……扱うというより同列にしなければならない。風俗嬢もしかり。

例えば、普通の会社のOLと結婚するのには何の障害もないが、「風俗嬢やAV女優、銀座のホステス」と結婚する、となったら必ず眉を顰める連中が居る。こういう認識をなくすことが大事なのではないかな？無論、AV女優と結婚して子供をもうけているひともいるわけで、仕事で人を差別するのは下劣な奴がやる。

これは個人的な印象でしかないが、こういう職業を卑しい眼で見る割合は、実は女の方が多いように思う。例えば、母親とかね。
よくテレビとかでこういうAVが話題になると出てくるのが
「救ってあげないとだめ」「可哀想」「助けてあげるべき」
という言葉。はたまた「女性に教育を」という人もいる。無論、強要されて自分の意志ではないところで強制にあっているならば救うべきではあるが、例えば世の中には少数ながら「SEXしたくてたまらなくて業界に入った」という人もいるだろう。
「それは偏見じゃね？」
「それ男の妄想でしょ」
そう言っている人も妄想だから、それ。本当に強要でいや嫌でたまらなくて、でも借金があって、仕方なくやってるっていう人が、なんで借金返し終わった後もその業界にいるのか？って話で、自分の意志で辞めたらいいんだよ。
この点、「強要による束縛」は関係ありません。その場合は強要罪だし、もっと言えば強制性交罪としてもいい。それ以外のあくまで、いわゆる「自由意志」の場合ね。
ソープでそういう人がいる。家族や男の借金で沈んで、それを払い終わった後でも結局残る人。辞める人もいるが、残る人もいる。
「生活の為」という人もいるが、中には「男性の喜ぶ顔が見たいから」といって残る人も中にはいるわけで。

つまり、「一側面で断じられるほど事は単純ではない」という事で、人間の闇の部分から目を背けている限り、こういう問題に向き合う事は出来ない。
「人というのは良いことをしながら悪い事をし、悪い事をしながら良い事をする」というのは鬼平の中のセリフだが、人というのは簡単に白黒つけられるような生き物ではない。
人は複雑怪奇な生き物だ、という事を理解してからこそスタートラインに立つのではないか？と思うわけで。
好きな女とするSEXと、風俗でのプレイと、やっている動作その者は同じ。
「愛があるから違う」「風俗は快楽の為だけ」
んじゃ、そういう連中は好きな女とするSEXが喩え苦痛に満ちて、するたびに全身に耐えがたい不快が駆け巡るとしてもするんか？
しないだろｗ。要するに快楽愉悦の行為に「正当化できる動機付け」が欲しいだけなんだよ。
確かに愛があるからする部分もあるが、同時に「気持ちいいから」する、という所も認めるべきだと思う。

そういう闇を受け入れる事が出来れば、例えば風俗嬢と同じように「２W〜１Mでの定期検査の義務付け」などが対策に上がるんじゃないか?と思うわけで。
我々が風邪を引いたら病院に行くような日常さでSTD検査ができるようになった時に、こういう問題が解決とまではいかずともある程度の進歩は見られるのではないか？
「なくしたらいい」「AVは女性を食い物にしている」
という意見はたしかにあるだろうし、食い物にしているレーベルやプロダクションもある。間違いない事実。
他方、それを無くすことで、じゃあその問題が消えるのか？消えないよ。アングラに潜るだけ。もっと過激になって結局女が泣きを見るだけなんだよ。
無論、強要は無くすべきであるし、そういう形で女優を確保しているレーベルやプロダクションは消えてしかるべき。
しかし、題名にした「職業に貴賎なし」という境地に、無関係や利用者側たる我々が立たない限り、この問題は真面目に解決できない。

その空気が無関係なところから業界にまで浸透した時、ある程度の解決の形がみえるのではないか？と思う。