日本が誇る格闘俳優のパイオニアでありジャパンアクションクラブの創設者千葉真一主演の実録格闘アクション。
日中戦争において日本軍の諜報部員として活躍していた宗道臣。
しかし日本は連合軍に降伏し戦争に敗北、行き場のない怒りを募らせた宗は失意のうちに日本へと帰国する。
太平洋戦争による空爆で焼け野原となった大阪で孤児たちと小さな雑炊屋を始める宗だったが、闇市を取り仕切るヤクザの幹部赤松らと度々衝突しては警察の厄介になっていた。
そんなある日、宗が面倒をみていた女性キクの弟がGHQのアメリカ兵が乗るジープにはねられる事件が発生する。
被害者を罵倒しさらなる理不尽なアメリカ兵に対し、宗は得意の拳法で痛めつけ相手を再起不能にさせる。
こうして大阪にいれなくなってしまった宗は世話になった署長の提案で四国へと身を隠す。
そして数年。
徳島県に根付いた宗は小さいながらも自身が編み出した少林寺拳法の道場を開いていた。
自警団を作り暴れるヤクザから住人を守る彼は住人たちの支持を集め、地元ヤクザからは『喧嘩坊主』として恐れられる存在になる。
都会で仕事にあぶれやさぐれていたトダも宗の実直さと強さに惚れ込み、妹と共に入門。門下生は徐々に増えていった。
しかし、これが面白くないヤクザたちは報復として宗たちに理不尽な暴力を仕掛け、その抗争によりトダが片腕を失ってしまう。
さらに地元ヤクザの要請により大阪から因縁の赤松が徳島の地元ヤクザと手を組むため上陸。
警察や役人たちを買収して、住人たちに暴力で立ち退きをせまる。
その最中で宗の親友であるオオタキが赤松の凶刃により殺されてしまう。
怒りに燃える宗はすべての決着をつけるべく、赤松らが会合する料亭にたった一人で殴り込みをかけるが…
日本発祥の少林寺拳法の生みの親、宗道臣の激動の半生を描いた格闘アクション作品。
主演を務めるのは日本を代表する格闘アクションスター千葉真一。
元々空手をしていた千葉だが、本作のために少林寺拳法を修得したという。
その努力もあってか元々器械体操やらで身体能力高い千葉はこの時期自身のアクションの全盛期でもあり、非常にキレ味鋭い格闘シーンに仕上がっている。
特に見所はクライマックスのヤクザ達が集結する料亭へのたった一人での殴り込みシーン。
ここで見せる千葉の格闘シーンは見応えがあり、まさに北斗無双ならぬ千葉無双状態。
鋭い蹴りと『ぎえええーい』というブルース・リーを意識したような怪鳥音を発する鬼神のような千葉の迫力にご注目いただきたい。
また脇をかためる出演陣も今見ればかなり重厚な俳優ばかりで、丹波哲郎や室田日出男らがチョイ役で出演。
トダ役には『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャーこと誠直也にその妹役にはデビューしたて格闘女優志穂美悦子が出演し初々しい魅力をみせている。。
さらに敵のチンピラにキックボクシングもしていたモノホンの格闘家出身俳優故・安岡力也、のちの『宇宙刑事ギャバン』の大葉健二らの姿もあり後にJACの中心となる人材がスタントをしているのにも注目。
ストーリーとしては一応実在した宗の史実に基づいてとあるが、そこは東映ヤクザ映画で千葉ちゃん主演の格闘ものとなればかなりの脚色がなされ、全体的には荒唐無稽さが際立っている。
かくして描かれているのはセガール並みに無敵で不死身な格闘家であり、その暴れっぷりは牛殺しの大山倍達もビックリの無双っぷり。
展開も単純明快で本編のほとんどは千葉ちゃんとヤクザとの仕返しの応酬である。
勧善懲悪で人物相関も難しくないので、深くドラマを考えることなく純粋にアクションを楽しめるのが本作品の魅力のひとつともいえる。
ただ本作は腕が切り取られたり、顔面を陥没させるなど切株描写などの残酷シーンがあるほか、『キ○ガイ』や『か○わ』など現在では絶対に載せられない放送禁止の表現がビシバシ描かれている。
現在ならば間違っても地上はおろか衛星でも放送は難しい。
そんな規制に縛られる前の貴重なアクション作品としても本作は観る価値があるだろう。
評価…★★★★
(存在がむちゃくちゃな千葉ちゃん無双は必見(笑))
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