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2019年06月17日22:06

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いわしアクション映画日記VOL.771『エンター・ザ・イーグル』


ブルース・リーの愛娘、シャノン・リーが親譲りのアクションで魅せるハードアクション作品。

プロの仕事師であるマーティンはとある犯罪組織より巨額の報酬の出る仕事を依頼される。
その内容とは世界最大のダイヤモンド『皇帝のプリズム』を盗み出すことであった。
世界最高峰のセキュリティーのもと厳重に保管されている標的を奪取するため、彼はチームを結成し、そこにかつての彼の相棒であるマンディを呼び寄せる。

優れた身体能力と格闘術を得意とする彼女はマーティンの依頼を承諾し、チームに合流する。
ダイヤが保管されているとされる東欧のチェコにやってきたチームは奪取作戦を練るのだが、そこに同じくダイヤの噂を聞きつけてきた詐欺師のトミーとルーシーの夫婦もチームの参加を表明する。
頼りないトミーの腕にマンディは呆れかえり、夫を小馬鹿にされたルーシーは彼女を敵視するが、マーティンの作戦のもといよいよダイヤの奪取に取り掛かる。

しかし作戦は途中であらぬ方向にいき、奪取は失敗。ダイヤを手に入れる役目だったトミーは警察隊に捕まってしまう。
連行され、収監されてしまうトミー。
マーティンは彼を助け、警察に保管されてしまったダイヤを同時に奪取する作戦に打って出る。

激しい銃撃戦の末になんとかトミーを救出することに成功するのだが、チームのひとりが組織に寝返り、仲間を殺してダイヤを奪って逃げてしまう。
組織は失敗を受けて、マーティンたちを罠に嵌め、ダイヤだけを強奪し彼らを亡き者にしようと画策していたのだった。

マーティンは組織への反撃を試みるのだが、ダイヤの奪取は失敗し敵との激しい追撃戦の末にトミーが被弾し致命傷を負ってしまう。
トミーの死によって、ルーシーは組織への復讐を誓う。
そして彼女の気持ちに同調しはじめ、友情を育みだしたマンディも彼女と共に組織への復讐を誓う。

空中数千メートルの飛行船を駈る敵のアジトに潜入するマンディとルーシー。
ビジネス相手との交渉が決裂し一触即発のなかに乱入し、激しい銃撃戦の最中、マーティンも彼女らを助けるために合流。
大乱戦の中でマンディは格闘術に優れた組織の最強のボス、キャスパーとの死闘に挑むのだが…

親に続いて早世した兄、ブランドンの意志を引き継ぐかのように見せる妹シャノンの代表作ともいえるアクション作品。

不世出のスター、ブルース・リーにはリンダ夫人との間に二人の子供がいたのだが、その長女となるのが本作で堂々の主役を務める『シャノン・リー』である。
兄のブランドンが『クロウ』で不慮の死を遂げてから数年、兄の果たせなかった意志を継ぐかのようにアクション界へと身を投じた。

しかしもともとは彼女はアクション女優としてではなく、先述した『ドラゴン/ブルース・リー物語』でパーティー会場で歌を歌うなど歌手として活動していた。
さらにはB級アクション作品『ハードボディ』という作品では謎の情婦役などおおよそアクションとは遠いセクシー系の売りであった。

彼女が本格的にアクションに目覚めだしたのは、ブランドンの死後で本格的に亡き兄同様にジークンドーの師匠であるダニー・イノサントに師事したことから始まっている。
その後『ハイボルテージ』でそのアクションを見せ、『ブレイド』ではウェズリー・スナイプス相手に戦うなど注目された後の本作である。

ストーリーはいたってシンプルでダイヤをめぐる内輪もめも含めた壮絶な争奪戦である。
陰謀やサスペンス的要素は一切なく、勧善懲悪の分かりやすいアクション中心の内容。
ただシンプルさ故にそのやり取りには少し中弛み感も感じるところも。

構図としてシリアスなマイケル・ウォンとシャノン・リーの組み合わせとコメディパートのチャン・シウキョンとアニタ・ユンの組み合わせで進行していくのだが、これがなんともかみ合っておらず、リーが浮いた感じになっているのが残念なところ。
中盤でのアニタ・ユンとシャノン・リーとの小競り合い的なやり取りもぎこちなく、クライマックス前にはなあなあになっていてドラマ性が薄いのも惜しいところ。
せっかく豪華な脇役陣なのでこのメンツならばもうひとつふたつ盛り上げる要素もできたようにも思える。

アクション的にはさすがはブルース・リーの遺志を継ぐだけあり、彼女自身最高のクオリティーの格闘シーンを見せている。
所々に父のアクションの名シーンも入れたり(トミーの顔面にキックの寸止めとか、対決の時に鼻をすするなど)、意識的に見せている部分もあるだろう。
それでいて父や兄ブランドンではなしえなかった女性らしい柔軟性を活かしたスコーピオンキックなど独自の魅力のアクションを見せてくれている。

そんな中でも最高の見せ場となるのがクライマックスのラスボスとその右腕とのハンディキャップマッチ戦。
シャノンの対戦相手はなんとあの『ベニー・ユキーデ』
相変わらず迫力ある悪役っぷりで『スパルタンX』時期のジャッキーとの対戦時よりは幾分ふっくらしているが、それでもすさまじい風圧の回し蹴りやエグいキックは健在。
その攻撃力の高さでシャノンをかなり追い詰めており、彼女のスピード技との攻防戦はそれだけでも見る価値ありのレアもの。

もちろんシャノンばかりでなく相手役のマイケル・ウォンはバンジーで銃を乱射したり、アニタ・ユンが激しい銃撃戦で覚醒するなど見せ場たっぷりのアクションもある。
ラストのまさかの自己犠牲シーンも見ごたえある出来である。

その後の活躍があまり聞かれなくなったシャノンであるが、現在も亡き父の企画であった『ウォリアー(原題名)』を企画プロデュースしたり、後世の指導やプロデューサーなど裏方での活躍になっている様子。
まだまだ50歳なので、香港のベティ・ウェイやミシェル・ヨーのようにもう一花咲かせてほしいとこである。

評価…★★★★
(間接的だがブルース・リー対ベニー・ユキーデという夢の対決でもある本作。いまならぜひシンシア・ラスロック辺りと戦ってほしいところである(笑))
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