mixiユーザー(id:2490213)

2019年05月19日22:01

143 view

リスはクルミを齧れるか

最近休日に出掛けたときのことだ。
都心で食事や買い物など済ませ、運良く帰りの電車では座ることができた。
いつもなら速攻で爆睡モードに入るのだが、この日は違った。

斜め前の一つだけ空いていた席に、小走りで座った若い女性。
これが可愛いのだ。
世間一般の美人の基準とは比較しないが、昔からの私の好みのタイプにピッタリ合致している。

クリっとした丸い瞳、首までのストレートヘア、そして何よりも少し大きめの前歯。
リスとかウサギを思わせるタイプに私は弱い。
しかもそれほど高くなさそうな衣服に、洗練されていない田舎っぽい仕草が素晴らしい。

おかげでいつもの睡魔は襲って来ず、ついつい目でそちらを追ってしまう怪しいオヤジに…。
…しかし。
事件は電車が動き出して5分と経たないうちに起こった。

リスに似た、あの愛らしい彼女が、突然鼻の穴をほじくり出したのだ。
どんな高尚なご家庭に生まれた方でも、子供の頃から生涯一度も鼻をほじったことがないという人はいないはずだ。
あら私は…などと言い出す輩は、シャラップ!とっとと巣へ帰りやがれ。

そういう行為の経験からすると、大抵の人は小指を器用に用いたものと推察する。
いや分かる、人によっては指先が不器用で、薬指と神経が繋がっている小指など上手く使えないという方がいることも。
人差し指でないと何をするにも終わらないという人がいることも、それはそれで認めよう。

しかし、しかしだ。
人差し指という最も発達した指は、鼻の穴という敏感な粘膜に対しては、ちょっと太過ぎる。
異論はあろうが、反対票で野が埋まるということはない意見だと私は信じる。

しかるにあの麗しの彼女は、電車の中で堂々と、己の人差し指を鼻の穴に突っ込んで、グリングリンと鼻糞をほじり出したのだ。
気の小さなスケベオヤジは、とても見ていられなくて慌てて目をそらすこととなった。
そう、小学生の頃に高校生カップルのキスを見て慌てて立ち去ったときと同じ気分だったのだ。

自分の中の神が許してくれそうな時間をおいて、再び彼女に目を向けると…。
彼女は平然とスマホを弄っていた。
ああ、そうか、痒くて掻いていただけか、私はそう安堵したものだ。

しかし私の平穏を彼女は知らぬまま、再び人差し指をあの可憐な穴にぶち込み、先ほど以上の動きをもってグリングリンと稼働させ始めたではないか。
さすにが二度目ともなると、私も成長している。
そう、中学生くらいにはなっているのだ。

今度は目をそらさず、そのまま観察していると、獲物を見付けたように彼女は指を引き抜いた。
距離もある、午後の日差しの加減もあろう。
しかし私の老眼が入った目にも、彼女の指先に付着している灰色の塊は…見えた。

ここまで来たら、もう後には退けない。
あの子リスを思わせる美女が、その釣果をどのように捌くのか。
と、突然彼女は、人差し指に親指と中指を動員させて、どうだとばかりに物体を丸め始めたのだ!

私は負けてしまった。
再度目線をそらし、そして神に祈った。
ああ、この後ゴンドワナ大陸はどのような移動を行うのだろうか。

三度私が彼女を捉えたとき、彼女の指はスカートなのか、あるいは椅子の座席の縁なのか、そのへんに何かを擦り付けていた…ように見えた…。
そして平然と指をスマホに戻し、微かに微笑みながら画面を見ている。
時たま、おや?という風にスマホの裏の部分を指で擦り、まるでうっかり付着させてしまった何かを丸め取るような動作を交えながら。

やがて彼女は私より先に降りた。
その横顔と後ろ姿を見送りながら、やっぱり可愛いと私は思った。
しかし彼女が座っていた席には座りたくないとも思った。
0 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年05月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記

もっと見る