通過年齢・・・

ワシがよ〜
これまで生きてきた56年の人生の中で
ある転換点とか通過ポイントとか思った年齢は
振り返ると次のようであったと思うんじゃ。

10歳　18歳　24歳　35歳　50歳

10歳は子ども時代が終わる年齢じゃよ

18歳は生物学的に大人になった年齢
誰もが18歳の頃の気質で生涯を生ききるのではないだろうか
90歳を超えても男女ともに気分は18歳のままなんじゃよ・・・
（今のあなたもそうなんではないか・・？）

２３・２４歳は社会的にも大人の男性になったゾ
と感じていた年齢。

35歳は多くのスポーツ選手においても曲がり角の年齢で
体力における黄金時代はこれを過ぎると落ちていくようだ

この頃からワシは桜や新緑や紅葉などが
美しいと思えるようになったんじゃよ
若者の頃はそんなこと感じ入ることはなかったんじゃよ・・

50歳は大きな通過点で
これを機に老人の領域に入った気がするのじゃよ。

日本の歴史を振り返ると
多くの時代で人生50年だったようじゃよ
ここ数十年で日本人男女の平均寿命は急激に伸びて
人生百歳時代じゃと言われたりするようになったけどよ・・・

50歳を過ぎると
身体の衰えのスピードが急に増したように思えるし
それと同時に今まで若くてわからなかったことが
「これはそういうことだったのか・・・」と腑に落ちるようなことが
多くなってきたのじゃよ
歳をとることによって初めて分かることってあるように思うのじゃよ

漱石なんかも49歳で亡くなっているけど
50歳を過ぎずになくなるのはもったいないぞ
と思うんじゃよ・・・

そしてよ〜
人生において経験するべきたいていのことは
もう経験してきているんじゃないかとも思うんじゃ

たとえば
学業をしたり
恋愛をしたり
社会人と成ったり
結婚したり
こどもを作って子育てしたり
子育てもほぼ終了しつつあるし
家も建てたし
車とバイクの免許も持って所有しているし・・・
入院闘病もしたし
足首を骨折して独力で治したこともあるし
自分のお店を持つことも出来たし
集客の苦労を味わっているさなかに在るし・・・

泣いているこどもの気持ちもわかるし
爺さん婆さんたちの気持ちもよくわかる
世の中の仕組みというものもほぼ把握できているように思う

じゃから今のワシは
若い時みたいにこれから頑張って経験値をためようと
しなくてもいいように思うんじゃ・・・

最近のワシは肩の力が抜けていると同時に
怠け者になっているんじゃよ
もともとたいして勤勉ではなかったのかもしれない・・・

集客は大変でそれにはものすごく苦労している
この苦労からは逃げられないのじゃと思う

先行きを考えると不安だらけじゃよ・・・

ワシの抱いていた夢というものは
なんとか自分のお店を持ちたい
そして自分の一番得意なことで商売をして
世の片隅でひっそりと生きたい
というもので
一応それは叶っていると言えるのかもしれない
先行きはどうなるか分からないけどよ・・・

どう間違っても高級外車を乗り回すような生活には絶対ならないと思う・・・

理想の暮らしは
宮沢賢治の「雨ニモマケズ・・・」
ああいう人にワシはなりたい・・・んじゃ
別に賢治が好きでもないのじゃがよ〜

ワシは25年以上病院に勤めていて
たくさんの死にも遭遇してきたけど
死ぬことは怖いとはあんまり思わないんじゃ
その時が来たら誰もがちゃんと死ねるように出来ているんじゃよ
まず自然災害で死ぬのはOKじゃな
津波とかがけ崩れとか一瞬で死ねるのはいいかもしれない
自分の墓も要らないし海に散骨でもかまわない
いつまで生きるものかは誰にも分からないけど
いつ死んでもいいような心持で生きていたいと思う

残りは治療者として生きるのみでよい
人の痛みを痛みも与えず素手でもって取り去るというワシの仕事は
とてもやりがいがあるんじゃ
今日も小田原まで出かけて行って
ふたりの爺婆の痛みを取り去ってきたんじゃよ・・・