mixiユーザー(id:2463327)

2022年04月10日15:30

88 view

宇宙(そら)へ

メアリ・ロビネット・コワル

amazon氏がわたしに薦めてくれたのが本書。ベタすぎるタイトルだが良作なのだろうヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプルクラウン。それでも聞いたことのない作家だしなーとためらっていた。ところで先日クオカードという商品券をいただいたのだが、わたしの生活圏で使える店舗はごく少ない。コンビニには行かないしセルフ給油のガソリンスタンドは対象外だし。ああ本屋か、生活圏内に対象店舗あるかな。じゃあこれでそれ買ってみよう。

1952年3月3日、アメリカ東海岸に巨大隕石が落下した。ワシントンD.C.は消滅、空気中に巻き上がった水蒸気は地球の急速な温暖化を招くと目された。計算によると数十年後、海水が沸騰しだす。ならば宇宙植民あるのみ、というグレタさんも驚くであろう歴史改変SF。主人公は女性の計算者。映画「ドリーム」で描かれた、計算機が普及する前の紙と鉛筆、計算尺を使うコンピューターの一人。映画とは違ってアフリカ系ではないし戦時中にはパイロットとして従軍経験もある。そして1958年、その彼女が最初の女性宇宙飛行士の一人となって月へ行く。真空管とパンチカードの技術で。

そりゃあ面白いさ、トリプルクラウンだもの。主人公はハーバードで数学を専攻した才人だがユダヤ系。当時の米国は男女平等にはなっていないし差別も残っている。しかも彼女は不安症を抱えている。それでも夫と仲間に支えられ、無理解な上司を克服し、メディアへの露出の恐怖と戦いながらもレディ・アストロノートとして身を立てる。読後感は爽やか。ああこれはHK朝の連ドラだ、たぶん。彼女の夫の名前が火星年代記の登場人物と同じだと登場人物が指摘していたり、最初の宇宙飛行士7名がマーキュリー7でなくアルテミス7と呼ばれていたり、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア博士が人種差別を告発していたり、サターンロケットでなくジュピターロケットと呼ばれていたり、月面着陸のメンバーに、コリンズ、オルドリン、アームストロングが含まれていたりと、現実世界とちょいちょい近づけてくる。これも朝ドラっぽい。

宇宙飛行士は極めて優秀な人にしかできない職業と知った。かつて私は宇宙飛行士採用試験を受けたが当然及ばなかった。それでも、宇宙を志す夢見る少女に本作をお勧め。本書同様、数学の博士号くらいあればなれるかも。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年04月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

最近の日記

もっと見る