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2022年03月27日10:49

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通いの軍隊

筒井康隆

「おれに関する噂」のついでにその文庫本を読んでいた。スワンウィック[大潮の道]に比べて筒井はわかりやすいが毒気も多い。一度に読むにはしんどいから一編づつ。読み進めて思い出した。映画[となり町戦争]を見たときに、なんだかこんな話読んだことあるような気がした。それが[通いの軍隊]。

「となり町戦争」は隣あう町が交戦状態で、通勤に便利だからとたまたま住んでいた男が町役場の戦争推進課の女性と偽装結婚して、敵の状況をスパイするという話だった。リアルな交戦は描かれないが毎日の新聞には淡々と昨日の死傷者数が発表されるというものだった。ついでに記すと戦争推進課の女性を演じたのが原田知世で、[私をスキーに連れてって]とは様変わりの様子に驚いたものだった。[通いの軍隊]では隣あう小国が紛争状態になっていて、銃のメンテナンス要員として一方の国に送り込まれたサラリーマンが前線に電車で通うというもの。夜間の歩哨任務では忘れた弁当を届けに妻が電車でやってくる。オチでは敵国に送り込まれた火薬会社の日本人サラリーマンに爆殺される。最後のセリフ「心配するな、おれも通いで雇われた」が実に落語的な印象。

両者に共通するのは戦争とサラリーマン。非日常と日常の組み合わせ。素材が似ているだけで調理方法は大きく異なる。それdも類似性を見たのは素材にしか目が入ってなかったからか。どうもそのようだ。
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