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2021年10月03日09:45

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魔法の国がよみがえる

ラリー・ニーヴン他

この本も読んでいなかった、自宅の書架にあったにもかかわらず。いつ古本屋で買ったのか判らない。ニーヴンて言ったらハードSFの人だろう、だがタイトルからして明らかにファンタジー。珍しいから買ったのか。わたしは求めてファンタジーを読むことはない。この現実とつながっていない世界に、花を背負った少女漫画的挿絵がどうにも苦手で。本書でも原著同様にアリシア・オースティンの手による挿絵が大量に含まれる。

従来の魔法小説に登場する魔法使いは何か特殊な素質もしくは厳しい修行によって能力を身につけたか、あるいは魔法使いという家系または部族に生まれたことによって、自動的にそうした秘法を会得したとされてきた。だがニーヴンの作った世界観は異なる。魔法の背後にある力はマナである。マナは大地に潜在する天然資源であり、使い果たせば枯渇する。マナが含まれない土地では魔法の効力は生じない。これが前作[魔法の国が消えていく]で、この世界観に共鳴して何人もの作家が本書で連作し、ポール・アンダースンすら参加している。この人もハードSFの人だろうに。

子供のころたまたまルネサンス前期頃の宗教画を紹介した番組を見ることがあって、その写実的とも美しいとも思えない聖母マリアと幼な子イエスを描いた絵を、宗教的情念の入ったおどろおどろしいものと感じて遠ざけるようになった。その番組でBGMに使われていたチェンバロの音さえ不気味な雰囲気につながっていると嫌いになったものだ。だが大人になってからは宗教画もチェンバロの音も許容できるようになった。昔は許容できなったファンタジーもこの挿絵も、現在ならそういう様式美として理解できる。子供のころ嫌いだったピーマンを食べられるようになるようなものか。
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