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2021年08月22日09:31

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異星人情報局

ジャック・ヴァレ

著者のヴァレは映画[未知との遭遇]で政府側追跡チームの中心人物であるラコーム博士のモデルになった人。自説をフィクション小説の形にまとめ上げた。映画のでの立場はともかく、ヴァレは陰謀論の人らしい。曰く、いわゆる異星人の乗り物たるUFOは地球に来ている。だが観察された現象の多くは政府の秘密組織による偽装現象で、大衆に恐怖を与えておくための陰謀であると。その秘密組織が異星人情報局というわけ。陰謀論者ではなくUFO現象論者ということになっている。

登場人物の口を借りたヴァレの説。第一次大戦は上流階級に指導された農民階級同士の激突で、第二次大戦は先進工業国間における科学技術の対決だった。将来起こりる紛争で戦略的優位を得るには大衆の信じるものを操作するエリート層の能力にかかっている。そこでUFO現象を見せるということなのだそうだ。そしてUFOは実在していて、宇宙からでなく並行次元から来ている。彼らを迎えているエリート層とは大統領もCIAもあずかり知らぬ秘密組織。組織の目的は核兵器の集中管理と各国中央銀行のコントロール。ここで合理化が行われたようだ。力さえ抑えればエリート支配のもと平和が実現するとでも言いたいのだろうが、複雑な現実に対してその見方は粗雑すぎないか。

UFOに限らず、陰謀論を読むのは誰かの妄想に付き合わされているようで辛い。そう解釈すればあれもこれも説明がつくというんだろう。はっきりした説明のできない現象は存在するし、それに白黒つけるために宇宙人だの秘密の組織だのを持ち出すのは飛躍が過ぎる。陰謀論者は自身の認知の歪みを疑ったほうがいい。筒井作品に現れる文芸誌の編集者あたりにはSF者の近親憎悪と言われそうだが。

だがコンタクティやカルト団体の描写を読んでいると気持ち悪いんだな。UFO現象論者である翻訳者による細かな注釈が付されていて、本書を読み解く手がかりにはなっているのだけれど、気持ち悪さが増す効果を生んでいる。
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