A.C.クラーク、ジェントリー・リー
正統的なものも再読してみようということで手にとった。2017年に太陽系に接近したオウムアムアは恒星間天体とされているが、宇宙人が送り出した説も唱えられた。だがクラークのこの作品は話題に上がらなかったと記憶している。世間はクラークを忘れてしまったか。むしろ私も忘れていた、内容を覚えていない。だから割と新鮮な気分で読めた。文庫の出版は94年で、この辺りから仕事が忙しくてSF読書どころではなくなったのだ。"ランデヴー3"は買ってもいない。ラーマ人はなんでも三つ組にするんじゃなかったのかと"ランデヴー4"も読んでいない。
登場人物が多いのでとっつきにくいし、ジェントリー・リーの趣味とされるシェイクスピアからの引用が多く、教養を持ち合わせていない私にはさっぱり判らないのだが、最初のラーマ出現の影響を受けた未来世界の構築が具体的で、これが共作の妙なのかと思わされる。ラーマの内部環境、ラーマ内の住人はもちろん、ラーマは神の遣いなのか、ラーマ人にもキリストはいるのかという宗教観、陰謀による乗組員の駆け引き、日本人隊員の内面描写、などなど要素が盛り沢山。フォーマットが自由な小説ならではで、これはいいものだ。
続編はkindleで買えるだろう、と思ったら売ってない。クラークは忘れられてしまったか。
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