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2020年09月27日08:51

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ファインマン物理学を読む 力学と熱力学を中心として

竹内薫

ようやく物理の基礎にたどり着いた。物理学の最初にニュートン力学を学ぶのは、物理に必要な微積分の手ほどきになるからだと聞いたことがある。高校レベルの力学ならまだ私にもわかるはず。意気込んだが空振り、本書では数式の解説よりもむしろ読み物になっている。「力とは何か、時間とは、波動とは何か、といった根源的な問いを見つめ直す」ためには読み物の方が近道であろう。

熱力学については本家でも扱いは端折られているそうだ。ファインマン先生の関心は還元的な相対論と量子力学にあったためか熱力学はマクロで近似に過ぎないと。時間の矢の向きが一方向なのと熱力学の第二法則の関係について何か述べられているかと期待したのだが。この宇宙は開闢以来エントロピーは増大しており、最終的には無秩序な熱的死を迎えると聞かされてきた。じゃあ宇宙の始まりはエントロピー極小の最高に秩序だった状態だったのか。そう言われると腑に落ちない。いわゆるホワイト・ホールは熱力学第二法則に反するから存在し得ない、とは言っても例えばわれわれ生物は混沌の中から生まれてきた秩序ある存在である。局所的になら第二法則に逆らうこともできるんじゃないか。科学かぶれの妄想だな。

残念なのは本書の著者も高校時代の物理教師も勧めた「ご冗談でしょう、ファインマンさん」を読んでいないこと。高校の図書室で借りておけばよかった。代わりに、といっては何だがファインマン先生のライバル、マレー・ゲルマンの「クォークとジャガー」を読んでいる。こちらはベストセラーにはならなかったそうで、ゲルマン先生は悔しがったそうだ。

このシリーズ3冊で筆者の望んだ「ファインマン先生は何を考えていたか」をおぼろげながら理解することができた。次は岩波書店の本家に進むかというと、そこまではしない。ただの科学かぶれなので。
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