竹内薫
前回の同シリーズ「量子力学と相対性理論を中心として」とは異なりファインマン物理学の本体がなくても読める気がする。少なくともル・グィンよりはとっつきやすい。とはいえ私の電磁気学は高校レベルで止まっている、いやそこからあれこれ忘れているから、あくまで雰囲気だけ味わった。
このレベルは工学部電気電子学科で学ぶものだろうか。工学分野なら古典電磁気論の理解でも十分間に合いそうな気もする、機械屋だって力学はニュートンで十分だもの。いや機械屋だって流体力学や材料力学は学ぶから、この辺りはちょっとした応用レベルだろうか。これを大学の学部1,2年生で学ぶんだからカルテックは近寄りがたい。
それは私が偽の機械屋であることもあるだろう。学部レベルの数学はC判定しかいただいていない。本書で触れられるちょっと高度な数学にはついていけない。会社勤めしていた数年前、通信の誤り訂正のためリード・ソロモン符号が必要になった。解説書を読んでもさっぱりわからない。大元を辿るとガロア体の理解が必要だそうだ。お手上げであった。本物の技術者ならそこで数学の勉強をやり直すのだろうが、私は偽物でソフトウェア実装担当に過ぎない。実装に耐える要求仕様書を書く、またはライブラリを買ってくる判断をするのが上流の仕事、でも上流が仕事を十分にしないならこっちの判断でもっと簡単な設計にしちゃうよと。
それはそれとして。ル・グィンよりずっと読みやすいと感じるのは著者の功績か、内容が論理的で具体例を豊富としたファインマン先生の功績か。先生は電磁気学はあくまで近似で背後には量子論と相対論があるんだよと、うっすらと説いている。
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