U.K.ル・グィン
「所有せざる人々」がわからなかったのでル・グィンをもう一冊読み返してみた。記憶では架空のオルシニア国に関する物語ではなくSFともファンタジーとも言えない連作集で、評価に困る作品集だった。
どうやら東欧あたりにあるオルシニアという国が舞台で、各短編に地名、登場人物名で同じものが現れる。だから連作という体裁が成立しているようだ。訳者あとがきによるとル・グィンがSFを志向する前から好きで書き始めたものでSFやファンタジーの分類には入らないとのこと。特徴的なのは物語の中で時間の流れが一様でなく、ロジカルさよりも著者の想像力でぐいぐい引っ張る文章。これではついていけない。だが本書も米国の賞を獲得しているので、こういうスタイルは認められているのだろう。記憶では本書でル・グィンを諦めた、当時の新刊「世界の合言葉は森」を購入するのを踏みとどまった気がする。
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