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2020年08月16日09:21

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所有せざる人々

U.K.ル・グゥイン

むかし読んだときにはよくわからなかった。アナレスとウラスの二重惑星、分断された世界を横断する物理学理論、一種のユートピア小説、云々。奇妙な世界を描く実験的な作品なのか。ダブルクラウン受賞の理由はさっぱりわからなかった。

今回読み直してようやくわかった気がした。資本主義社会のウラスからアナレスに移住した原始共産制を唱える革命者の一団がいたのね。それはアメリカと東側社会の分断に擬えられ、それら二つの世界を繋いだ物理学者の視点からそれぞれのウラオモテを描いたのねと。そりゃ面白いわい。でもル・グィン作品に引き継がれた時間超越通信機アンシブルにつながる話はついでなのねと。

それも違った。あとがきにル・グゥイン自身の発言が引用さえていて、彼女がいうには主人公を深掘りした作品なのだとのこと。主人公である時間物理学者シェヴェックのディテールを掘り下げた結果が分断社会のアナレスとウラスなのだそうな。著者は寓意は嫌いだとも言っている。読後の納得感はあるにせよ今回も読めてなかったなーと反省。当時ル・グゥインはSF界の女王だったそうで、その発言には頑ななところも見られるが女王なら仕方がない。2018年没。
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