フレドリック・ブラウン
アルコールが切れて眠れない夜に読み返した。文庫を入手したのは中学生の頃だったはず、それから何度か読み返している。安心できるというか、故郷のようなSF作品。グレッグ・イーガンやテッド・チャンだって読むけれど、自身のSF観の原点はこの辺りにある。筆者はモラリストで、作品には静かなユーモアがあり、人間に対する根拠のない信頼。この安心感。短編集だから途中で読み止めるのも簡単。眠れない夜にはいい選択だった。
だが21世紀の読者に需要はあるだろうか。紙の書籍としての需要はともかく、電子書籍ならどうだろう。例えば「闘技場」。このアイディアは鉄腕アトムにもスタートレックにも引用されていると聞く。こういうの知ってると豊かな鑑賞ができると思うのだ。いや、涼宮ハルヒやエヴァンゲリオンがSFだと感じてる現代の読者に興味なんか持たれないか。もったいないと旧いSF読者は思う。
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