2015年 塚本晋也
大岡昇平の戦争文学。59年に市川崑の手によって映画化されているが、そのリメイクというわけでもない。原作は小学生の頃に読んだろうか、大岡の戦争体験に基づく陰惨な作品だったという印象だけ覚えている。ましてやカニバリズムへの言及があったなど覚えいない。
フィリピンの戦場で見捨てられた日本軍。主人公は野戦病院を追われ飢えと孤独の中にさまよう。殺人、死体、狂気、人肉食への欲求が容赦ない映像で描かれる。実際に食しているシーンすら存在する。昨今のコロナ禍でも垣間見られる日本人の醜さはこんな酷かったんだ。こんな極限状態は私には耐えられない、早々に死を選ぶ。
いや監督の言いたかったことはそうでなかろう。監督、脚本、主演を塚本晋也がつとめる。出資もしている。塚本監督の作風は知らないが、これだけ重い作風だとエンタテインメントとしては辛い。映画を作り続けられるだろうか。
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