mixiユーザー(id:2463327)

2019年12月08日14:12

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V.

トマス・ピンチョン

読み返した。やっぱりよく判らない。以下、帯から引用する。
歴史の変動の影に常に暗躍する謎の女V. 巨大な欲望と錯綜した意識の総体であるV. 母であり妻であり情婦であり超母性でもある謎の女V. 実像、虚像、混沌、さまざまな顔をもつV.……。1898年ファショダ危機の前夜、暗雲たちこめるカイロの街角に、あでやかに登場する少女V. 1934年、ニューヨークの地下水道にくりひろげられる、神父と聖鼠の教義問答。1943年マルタ、⦅神父/シスター=V.⦆の死と解体、ガラスの義眼を持ち去る夢占い師V.1913年、革命の予感におののくパリ社交界、少女ダンサーと恋するV.そして1946年、ステンシルの意識の中に広がる巨大な母V.……。(以下略)

ミステリーとして煽りまくるのは国書刊行会の編集者だろうか。そんなミステリーはカケラも感じられなかった。登場人物が多く関係性が見えにくい。それも近代アメリカ映画でよく見られた酔っ払いとヤク中ばかり。時系列が前後する上にエピソードが挟まって物語が見えない。その上著者は情景や心理の描写よりも豊富な知識に裏付けられた自身の思いつきを文字にしているようで脈絡がない。論理的理解を拒んでいる。最後まで読んでオチもなければカタルシスもない。この混沌はドグラ・マグラのようだ。

凡人の私には登場人物の関係性をいちいちメモに起こしていかないと理解に達することができまい(その点は訳者あとがきに救われた)。ポジティブな評価をすることができないのは、試されたわたしが要求される水準に達していないからだろう。だからといって分かりやすいものばかり選んでいては馬鹿になってしまう。
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