鍵泥棒のメソッド

2012年 内田けんじ

堺雅人、香川照之、篠原涼子の芝居がいい。殺し屋の香川、三文役者の堺、婚活中の編集者の篠原が絡み合うのは映画というよりは舞台演劇的な印象。映画を見返したら三者の表情のクローズアップが多かった気がする。

いい芝居の背景にはできのよい脚本がある。殺し屋が一仕事終えてみると用心していたのに返り血が。洗い流していこうと立ち寄った風呂屋で転倒、頭を打って倒れているうちに、人生の立ち行かなさに自殺まで考えた三文役者がロッカーの鍵を自分のものとすり替え、二人は入れ替わる。記憶をなくした暗殺者は退院する際に婚活中の編集者に出会って親切にされ、しばらく寄り添う。

とまあ、これができのよい脚本だろうか。コミック映画でもここまですまい。だがちゃんと映画として成立している。俳優の演技か監督の力量か。