リチャード・パワーズ
読み返した。実際に著者の滞在したイリノイ大学アーバナ校で人工知能の教育を引き受ける中で進む人間模様。半ば自伝で半ばSF。95年の著作にしては人工知能の学習の描写が現代的。しかし人工知能の進化に飛躍が大きくてそこは少々しらけさせるが、これは科学技術小説ではない。帯には"天才作家の描く新世紀の恋愛小説"とある。ガラテイアはギリシャ神話から。ピグマリオンが自作の彫像を愛してしまうというエピソードが元になっている。人工知能のトレーニングをすることで著者も人工知能に微妙な恋愛感情を抱くに至る。飽きずに読み切ることができた。
パワーズはポスト・モダンの作家とされる。わたしには著者が天才かどうかは判らない。このハードカバーを購入したのは2001年。読書の幅を広げようとして人工知能つながりで買ったと思われる。こういう著作について読み応えのある論評ができる頭脳があるといいのだが。
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