知の技法

94年に購入したもの。リアル書店で平積みになっていたのだろう、あの頃は教養を身につけようという意気込みだけはあった。当時は安易に堕したものだが25年経ってようやく回収した(ことにしよう)。

本書は東大教養学部の「基礎演習」テキストで、文系の1年生を対象としている。三部構成の第一部はイントロ、第二部では各方面の教授が自分の研究や問題意識を述べ示唆に富む。これをもとに議論するのが基礎演習なのだろう。第三部は研究の進め方と論文の書き方のガイダンス。ここのところだけでも学生のうちに読みたかった。さすが東大だわ、18,9でこのレベルか。第二部は今でこそわたしにも著者の意図を理解できると感じられるが、学生の頃ならお手上げだったろう。

さて、今になって大学に戻って教養をやり直すのは不可能と思われる。お金や時間の問題ではなくて、わたしの能力では理解がおよばない。集中力も続かない。自宅でちょっと難しめの著述に触れて勉強した気になっているだけで十分だし現実的であろう。