脳天を衝け

深夜、覚醒。
急に衣類を投げ込み洗濯機を作動させ、
シンクで渋滞した洗い物にチャーミーグリーンとスポンジで向き合い始める。
一頻りやる事をやった後、
インスタントコーヒーで一息入れ、午前5時頃バタリと倒れ込む。

再び目覚める。TV付けるとサンジャポに爆笑田中氏がMC復帰している。
寝ぼけまなこで昨日洗い上げた中華碗を棚にしまおうとしたら、
それは指から滑り落ち、置いてあったお茶碗と皿に勢い良く落下、
あっという間に長年愛用して来た食器三つが音を立てて死んだ。

「カタチある物、いつかは壊れる」とリフレーミングしようとしても、
「殺してしまった」感が胸から拭い切れず、
活動エンジンがゴゴゴ・・・と、止まってしまった。
幸い今日は、フリーズしてもセーフといえばセーフな日ではあった。

音楽を流しながら横たわる。
思考している様で浮かぶ点は線で繋がらずバラバラ流れて行く。
これは無思考という事で良いのだろうか。

時計の針の速度が落ちて欲しかった。
時間が進む事によって「活動しなければいけない」が近付いて来る事を、
先延ばしにしたかった。

そのあとまたある事が起きて洗浄強迫傾向が作動、
一生懸命足や手をミューズ石鹸で洗ったり、我ながら慌ただしい。
「マトモニ生キテイケナイ・マトモニ生キテイケナイ・マトモニ生」
と脳内に電子テロップが横ヘ流れる。

気付きゃあ夜。

「脳天を衝け」じゃなかった、「青天を衝け」を眺めながら、
コンビニサバと冷凍焼き鳥をむしゃむしゃ。

思考を避けたがる脳を抱えて、
朝から晩まで思考し続けなければいけない明日に向かって、
寝ろ、ネロ、ネロンガ・・・消えて行く我。