波の生き物

家族であっても、所詮他人。
血は繋がっていても、別の人間。
そして夫婦も恋人も友人も、仕事仲間も、
勿論他人。

生まれてから死ぬまで、
他人同士の中を行きて行く。

そんな中、何の気も遣わないで、
あるがままで安らぎ意気投合出来る関係があったなら、
それは奇跡だし、素晴らしい事。

でも、殆どは他人同士だから、
もし、良い関係性を築いて行くならば、
気は遣い合わなきゃいけないし、
ズッコケたり、ぶつかったりもする。

人付き合いとは、努力だ。

対人電池が消耗して疲れて来ると、
しんどさが強くなると、
独りになりたいと思う。
部屋にこもり好きな音楽だけ聴いて、もしくは無音の中で、
横たわって永遠にボーッとしていたい。

でも、また表へ出て、人付き合いをやり始める。
生命活動として、やらなきゃ生きて行けなくなるという面もあるが、
しんどいし辛いし、時には怖さもあるのに、
本当に、本当に面倒臭いのに、億劫なのに、
何でか・・・・・・というと、
其処に楽しさもあるからだろう。
気を遣って努力して、相手を知りながら、
グルーヴを生じさせ、
良い関係を築いていったり、確かめたりする事に、
気持ち良さや楽しさもあるからだろう。

良くしようと思った所で他人同士、
なかなか凄く良くなる事もないが、
少しでも良くなると、それが何だか楽しかったり。

表に出て人と関わる感じの方に行ったり、
独りベッドで永遠に丸まっていられる事を切に願ったり・・・・・・
行ったり来たり。

そうだ、人は、並の生き物、
もとい、波の生き物なのだ。

人によって波形も落差も違うけど、
自分に波があると分かってやれると、
相手にも波のある事を感じとれると、
そうすれば、きっと・・・・・・。