『心ある機械たちagain』なる展覧会に行った。
絡みで行ったので、そんなに心を持ち運んで行った訳ではなかったが、
思いの外、感じるものがあった。
書籍やグッズの並ぶアート系書店みたいなエントランスゾーンを抜けて、
奥の狭い倉庫的空間に並ぶ作品群を眺めるのに時間はかからなかった。
機械仕掛けで、無目的に蠢くオブジェたち。
例えばパチンコみたいな金属玉を次々上から落として、
下に階段状に並ぶ鉄琴に弾かせてメロディを奏でる、
比較的「機能」を感じさせるメカも、
時々玉が外れて、音が欠けたりしている。
その「隙」のある仕掛けに、何だかホッとさせられた。
「人と同じだナ」と思った。
生きる為のシガラミから外れた本当の自分は、
これ等の機械たちよりも無目的でポンコツで、
そして自由なのかも知れない。
「命とは本来、無目的なものだ」
そんな気持ちにさせられた。
エントランスゾーンに並ぶ、
自費出版の匂いがするアート本や奇妙なグッズも手にとって眺めながら、
場の空気の気持ち良さにホッとしていた。
何も無理をしていない自分になっていた。
それは本来の自分に帰っている時間であった。
しかし本来の自分に帰ったままだと食べられないので、
食べて行く為の日常に繋がる、
照明の暗い地下駅のホームへと戻った。
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