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2020年01月01日15:27

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寅はいない

BS付けたら、
オードリーとケーリーが、
マンシーニの音楽をバックに、
スタイリッシュなエンディングを迎えていた。

そのあと、
ガラリと変わって『男はつらいよ』第一作が始まった。

昨年スターウォーズやターミネーターをスクリーンで観ていて、
刺激に妙に敏感になってしまっている自分に気付き、
寅さんはちょっとリラックスするつもりで眺めていた。

しかし、である。
とらやが属する側の社会と寅さんとのあいだに生じるズレ、
「デリカシーがない」という事になる寅さんのやらかし、
感情と感情とのぶつかり合いの場面を眺めていたら、
やはりちょっと刺激をおぼえ、しんどい感じがあった。

そして「この人たちに、誰も悪い人はいないんだよナ」という事を感じながら、
何だか切なくもなった。

また、観て行く内に、
擦れ違いながら、ぶつかり合いながら、
甘え甘やかし合う人間関係を見た。
それで「上手く行く」、みたいな。

寛容な社会、という言葉が浮かんだ。

今の街角を思い浮かべる。
電車の中スマホ片手に、車窓の風景も周りの人々の顔も見ていない。
ヘッドフォンして、赤ん坊の泣き声も聞こえていない。
タイムイズマネー、タイムイズマネーと追われながら、
自分の生存だけでも精一杯で、必死にピリピリしている。
神経の限界まで攻めて、闘っている。
本当に、皆が精一杯である。
ふざけてなんかいない。

しかし其処に、寅はいない。
もう、いないんである。

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