BS付けたら、
オードリーとケーリーが、
マンシーニの音楽をバックに、
スタイリッシュなエンディングを迎えていた。
そのあと、
ガラリと変わって『男はつらいよ』第一作が始まった。
昨年スターウォーズやターミネーターをスクリーンで観ていて、
刺激に妙に敏感になってしまっている自分に気付き、
寅さんはちょっとリラックスするつもりで眺めていた。
しかし、である。
とらやが属する側の社会と寅さんとのあいだに生じるズレ、
「デリカシーがない」という事になる寅さんのやらかし、
感情と感情とのぶつかり合いの場面を眺めていたら、
やはりちょっと刺激をおぼえ、しんどい感じがあった。
そして「この人たちに、誰も悪い人はいないんだよナ」という事を感じながら、
何だか切なくもなった。
また、観て行く内に、
擦れ違いながら、ぶつかり合いながら、
甘え甘やかし合う人間関係を見た。
それで「上手く行く」、みたいな。
寛容な社会、という言葉が浮かんだ。
今の街角を思い浮かべる。
電車の中スマホ片手に、車窓の風景も周りの人々の顔も見ていない。
ヘッドフォンして、赤ん坊の泣き声も聞こえていない。
タイムイズマネー、タイムイズマネーと追われながら、
自分の生存だけでも精一杯で、必死にピリピリしている。
神経の限界まで攻めて、闘っている。
本当に、皆が精一杯である。
ふざけてなんかいない。
しかし其処に、寅はいない。
もう、いないんである。
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