長男の誕生日

我が家の長男が、本日９歳の誕生日を迎える。
今はまだ朝の４時なので本人は勿論、妻も残り二人の倅たちも眠っている。
これまで豪騎と過ごした時間と概ね一緒くらいの時間が経つと、おそらく彼はこの家を巣立っていく。
それは当然の未来だし、そうなってもらわねば困ることでもあるのだが、可愛い寝顔を見ていると、なんだかそんな未来が寂しくも思えてしまう。
まだあどけなさが残る豪騎に、自分はどうしても多くを期待し過ぎてしまう。
豪騎は幼いながらもそれに応えようと懸命に努力しているようだ。
長男が負う責務は決して小さくない。
だからこそ親父を頼れない、相談すらできない場面で、しっかりと長男としての役割を果たしきれる男に育って欲しいと、つい倅の年齢を忘れて向き合ってしまう。
彼には苦しいことも多かったと思う。
その点では父親として申し訳なかったと思う。

辛い気持ちにさせたことを謝るよ。
ごめんね。
それから、お誕生日おめでとう。
お前が生まれた時、お父ちゃんは就職が決まってまだ１ヶ月という状態だった。
今に比べれば生活そのものが不安定だったその頃、それでもお母ちゃんとお前のおかげで幸せだった。
お前は今の暮らしが当たり前と思っているかもしれないが、それは違う。
ここ数年、やっと並みの生活に届いたに過ぎん。
お父ちゃんはお前たちの力をもらって、そのおかげで這い上がってこられたんだ。
だから、ありがとうな。
川遊びに夢中になっているお前を、じっと眺めている時間が好きだ。
豊かな自然の中で伸び伸びと楽しそうに過ごすお前は、お父ちゃんの思い描いたワンパク息子の姿そのものだ。
逞しく育ってくれてありがとう。
休日をお前と過ごせるのも、あとどれくらいだろう。
お父ちゃんは寂しそうなツラをするかもしれないが、そんなことは気にせず、どんどん友達と出かけてこい。
そこから学ぶことが多ければ多いほど、お前の人生は有意義で実り豊かになっていくはずだ。
それから、勉強のことはお母ちゃんの言うことを聞けば間違いない。
素直に耳を傾けて、まずは言われた通りに取り組んでごらん。
いいね。
最後に弟たちを頼むよ。
こいつらの面倒を見るのはたやすくないだろう。
それでも兄貴として頑張って過ごした経験は、いつかお前を助けてさえくれるはずだ。
長男として生きてきたお父ちゃんが言うんだ。
間違いない。
さて、人生の究極の目標は「幸せになる」ことだ。
「幸せ」そのものの定義はお前自身が決めればいい。
いずれにしても幸せな人生を送ってほしい。
分かったね。








お父ちゃんは写真のような様子を見ている時間が、何よりの幸せだ。
ありがとうな。