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2020年02月22日15:10

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book『さよなら「国民」/記憶する「死者」の物語』(田中伸尚)

田中伸尚著『さよなら「国民」/記憶する「死者」の物語』(一葉社、1998年12月刊)を読んだ。田中さんが1990年代末に出された本で、『天皇をめぐる物語/歴史の視座の中で』(一葉社、1999年4月刊)と姉妹作品だ。「本書は主として敗戦五十年前後に書いたレポート、ルポ、エッセイ、評論や各地の市民集会などで語ってきた中から選んで編んだ。(中略)本書はほとんどが日本の侵略戦争による死者についての物語である。」(「あとがき」)先に読んだ本『天皇をめぐる物語』が戦後に天皇の戦争責任が免責される過程、象徴天皇制の持つ問題性、靖国神社と戦争・天皇制の関係等を描いたとすれば、『記憶する「死者」の物語』はアジア・太平洋戦争中亡くなった死者をどのように心に刻むのか、二度と国家のため死なない、アジアの人々を殺さない道はどのよに切り開いて行けるのかを問うた論考である。この中で印象に残ったことをひとつ上げれば、『愛別離苦』の著者小栗竹子さんで、小栗さんは中国で戦病死した夫との対話のを続け、「靖国の妻」の枠組み乗り越え、加害の立場の認識をもとに夫の戦没した地を訪れる話だ。(以前、この本を田中さんから紹介され、読んだことがあり、感銘を受けた。)私も死ぬまでに父の戦死した(今、新型肺炎で話題になっている)武漢を訪ねてみたいとあらためて思った。またこの本のなかで、靖国訴訟に関する話が随所のでてくるが、ここでも「正教分離」原則(訴訟のなかで問題になる「目的効果基準」についてきっちり勉強しなければ行けないと思った。現在の時点で田中さんのこの2作品を読んでみる価値ありと思った。
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