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2020年01月19日05:32

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book『ノモハン/責任なき戦い』(田中雄一)

田中雄一著『ノモハン/責任なき戦い』(講談社現代新書)を読んだ。1939年5月に勃発し、翌年の1940年8月にソ連軍の大攻勢により終結したノモハン事件について書いた本だ。それはその後の日中戦争および太平洋戦争の大敗北の「序曲」であったこと、その敗因と過ちについて分析したドキュメントである。この本はNHKスペシャルで放映されたものを単行本にしたもので、著者はそのディレクターであり、40歳代であることからテレビのドキュメンタリーで若手が育っているのだと感じさせられた。ノモハン事件で日本軍が装備においてソ連軍に劣り、旧式の三八式歩兵銃中心の白兵戦、夜襲をかけるという非近代的精神主義の戦術がノモハン戦において形作られた。それがその後の第二次世界大戦での泥沼の戦争に繋がったことが詳細に跡づけられる。その作戦指導の中心であった参謀・辻正信に率いられた関東軍はノモハン事件の悲惨な敗戦からなぜ学ばなかったか。日本陸軍の幹部形成(陸軍幼年学校→陸軍士官学校→陸軍大学校というエリートコース)が懐胎する問題をノモハン事件の全過程で明らかにする。実に興味深い本だった。続けてたまたま本屋で手に取った本だが、NHK「ETV特集」取材班著『証言治安維持法』(NHK出版新書)を読む予定である。これもNHKのテレビドキュメンタリーが単行本化されたものだ。
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