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2019年12月11日09:06

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book『生きている兵隊』(石川達三)

石川達三著『生きている兵隊』(中公文庫)を読んだ。石川達三といえば、私が高校3年生時に見た勤評闘争を描いた映画「人間の壁」(山本薩夫)の原作者で、当時原作も読み、強く印象に残った。1937年の7月7日に盧溝橋事件が起こり、戦線は中国北部(華北)に拡大し、同年12月13日に首都南京を日本軍が攻略し、南京大虐殺事件が起こる。作家石川達三は翌年1月5日に中央公論特派員として南京に着き、従軍記を書いた。それが『生きている兵隊』だ。その記事が掲載された「中央公論」は発売禁止となり、石川は「新聞紙法違反」で逮捕・起訴され、有罪刑を受けた。この本は戦後、著者によって復元、出版されたもので、日本軍の殺戮・略奪・強姦等の事実が赤裸々に書かれている。また「中央公論」掲載時に検閲で伏せ字になった箇所が戦後に復元され、その箇所に傍線が付されていて、戦中・戦前の検閲・言論弾圧のすさまじさを強く感じさせられた。本は12章からなっているが、11章・12章は全くの削除である。その箇所は南京攻略後、兵士たちが慰安所に行き、事件を起こすところである。歴史修正主義者が「従軍慰安婦はなかった」とするのが全くの「歴史の偽造」であることがよく分かる。戦中に出版された従軍記や本を読めば、「慰安所」の姿が、それに軍部関わっていることが、「あたりまえ」のこととして記述されている。事実をもって知るべしだ。
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