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2019年10月17日20:19

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book『その声は、長い旅をした』(中澤晶子)

中澤晶子さんの児童文学作品『その声は、長い旅をした』を読んだ。東京の四番町少年合唱団の藤枝開と船原翔平に思いがけないできごとが起こり、ふたりは天正時代にローマに派遣された少年使節と「声」と「音楽」によって結びつけられていく。命がけで大海原渡った正使・副使の4人の少年の他に一行に加わったもう1人の少年「コタロウ」がいたことを作者のイマジネーションによって作りだし、現在と過去を結びつけた豊かな物語世界を作っている。(タイトルの「その声は、長い旅をした」はそれを表している。)私は中学校3年の時の担任が音楽の先生で、その先生が主宰した市民合唱団に参加し、発表会にも出たことがある。この作品のボーイソプラノの世界ではないが、合唱団の経験を思い出しながら読んだ。また私の住む茨木市の山間部には隠れきりキリシタンの里があり、大正時代に古老のおばあさんが「おらしょ」(祈祷文)を伝承していたことが郷土史家によって発見された。教科書によく載っているザビエルの画像はその村から見つかったものだ。高校時代、その村をクラブ(郷土研究部)で訪ね、キリスト像(仏像をひっくり返したら裏から出てきた!)、宗教画、十字架が刻印された墓石等を見た。そんな経験から隠れキリシタンに興味を持ってきたので、この作品世界に強くひかれた。中澤さんの作品は毎回おもしろく、かつ推理小説のようにスリリングで、強く引き寄せられる。すてきな本だ。
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