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2019年07月19日14:40

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book『自由思考』(中村文則)

中村文則著『自由思考』(河出書房新社)を読んだ。小説家中村文則の初エッセイ集である。私が中村文則に興味お持ったのは、私のやっている講演会で白井聡さんを講師でお呼びした関係で、白井聡と中村文則の雑誌「すばる」対談を読み、おもしろかったからだ。その時、小説『R帝国』(集英社)と『私の消滅』(文藝春秋)を買ったが、まだ読んでいない。「この本は、僕の初めてのエッセイ集で、デビューした二〇〇二から現在の二〇一九年までのもの、つまり約十七年分を収めたものになる。」エッセーは三部に分かれていて、「一はエッセイと文学論的なもの」「二は社会問題や政治」「三はエッセイと受賞関連の文」で構成されていて(「あとがき」)、非常におもしろかった。読み始めた最初に目に飛び込んできたのが、小学校二年生の時の「見知らぬ男」に声をかけられた体験であった。「僕は目を見ていた。それは直感的なものだったが、不快な感じがし、嘘をついている大人のように見えた。」その後の展開がその直感を証明するのだが、著者がその後小説家になるのがうなづける挿話だった。全体を通じて、その資質と社会を見つめる真摯な姿勢が感じさせられる本だった。昨年の震災で著者の小説が行方不明だったが、上記の2冊を探して見つけた。機会を作り、読もうと思う。
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