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2019年03月24日14:02

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book『ドキュメント昭和天皇8/象徴』(田中伸尚)

田中伸尚著『ドキュメント昭和天皇8/象徴』(緑風出版)を読んだ。この巻は2年前のアマゾンで購入して、ぜひ読もうと考えていたが、なかなか読み切れなくて、置いたままだったが、読み切れた。「天皇裕仁の戦後最大の目的は、いわゆる「国体」の護持と自らの身分の保護であった。それが叶えば、あるいは達成できる見通しが掴めれば、天皇として一段落であった。」(「あとがき」)本文では、そのための天皇と側近グループの暗躍、マッカーサーが天皇を免責すると考えた政治的意図、両者の情報を結びつけた寺崎映成などの動き(これぞ二重スパイ)、天皇が自らの弁明のために使った論理(詭弁)、憲法制定過程の両者の錯綜した駆け引き、天皇の「不追訴」までの経過等大変興味深い。これらの過程で戦争の被害者であるアジア・中国・朝鮮の民衆は忘れ去られた。私は天皇代替わりの時代にこの本を絶対読んでおこうと思っていた。読めて大変よかった。「象徴天皇」制への移行過程で見せた昭和天皇の政治的な動きは今回の代替わりに際しての平成天皇の政治的な動き(いわゆる「お言葉」)と通じているのではないかと思った。この政治的パホーマンスは父子相伝でないかと思えた。「ドキュメント昭和天皇」は全8巻だが、それ以降に田中さんが書かれてきたドキュメント(私は2000年頃から田中さんの本に出会った)の第1幕にあたる。緻密な論証と進行する過程のスリリングでリアルば叙述に目を見はらせる。35年前から26年前に書かれた本だが、今もその価値を失わない実に見事な本だ。この本は図書館に入っている。
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