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2020年07月23日06:29

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叔父は、ある年から
薔薇の花だけを売る花屋をやっている。

それも、何曜日だったか忘れたけど
1週間の1日は
お店に来た「女性」のお客さんには
無料で配ってる。

儲かるの?
なんて聞いたら

知り合いが薔薇の温室栽培をしてて
格安で仕入れることができるから...

なんて言ってたけど

母は
間違いなく儲かってない。
店に来る女性客を喜ばせて
ちやほやされて喜んでで馬鹿みたい。
世間の恥だわ。
恥ずかしいから早く止めてほしい右斜め下
なんて嘆いてた。

まぁ、叔父さんの趣味だって〜(笑)
みんな喜んでるし
好きにさせておいたら、いいんじゃないの?
なんて流してた。

でもそんなある日、
叔父と2人で飲みに行った日の会話を思い出した。

叔父は若い頃、ある女性と恋におちた。
結婚したいと親に頼んだけれど
親に反対されて泣く泣く別れた。

それから叔父は親の薦めでお見合い結婚して
子どもも生まれて
はたから見たら、普通の家庭を営んでる夫婦に見えていた。

どこから、その昔の恋人の消息を聞いていたのかは知らないけれど
ある年に彼女の訃報を聞いたそうだ。

本当に驚いた。
結婚して東京で暮らしてたのは知ってたけど
死んじゃったと聞いたときにはね...

そうなんだ...
お葬式には行ったの?

行ってない。
後から知らされたから。

なんて会話をしばらくした。
普段は
僕はね、モテるんだよ?
なんて軽口をたたいている叔父の
何か別の一面を見たような
不思議な夜だった。


思い起こせば
そんな会話をした頃だった。
叔父が薔薇の花を配り始めたのは。


叔父さんにとって
お店に来るお客さんは
亡くなってしまった初恋の人なんじゃないの?

叔父の薔薇の花屋の悪口を定期的に言ってる母に
ある日、私がそう言ったら

そんなこと誰に聞いたの?
って母が驚いて尋ねた。

いや、そんな風には聞いてないけど
叔父さんの初恋の彼女、亡くなったらしいよ。
大恋愛だったんでしょ?

なんて言ったら

亡くなったの?

らしいね。知らなかった?

知らなかったけど
どうして○○○には話したのかしら....

たまたまでしょう?
だから、あんまり叔父さんを責めないでね。
って言っておいた。



この世界に見えるものはなんなんだろう...

人は本当に大切な想いは
心の奥底にしまって
めったにそれを出すことはない。

でも、奇妙だと思えることをやり続けるのには
何か必ず理由があって。

傍目には
人のいい薔薇を配る叔父さん、なんだろうけど
本当の想いは
天国にいる恋人に薔薇を捧げ続けてる...


見えるものは幻。

みんな幻...





















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