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2021年10月16日16:00

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「かそけきサンカヨウ」〜繊細なる家族のありかた

窪美澄の短編小説を、このところ興味深い作品を次々と世に問う今泉力哉監督が映画化。高校生になったばかり、美術部に所属する陽(よう〜志田彩良)は父親(井浦新)とふたり暮らし。ある日いきなり父親は再婚することを打ちあけ、やがてその相手美子(菊池亜希子)そして連れ子の4歳女児ひなたを交えた4人での家族生活が始まる。

主演女優・志田彩良がこの作品最大の魅力、これからが楽しみな原石にまたまた出会った印象。ただ最近主演作においてハジけた駒井蓮や伊藤万理華にくらべるとこれが“引きの美学”なのか、静かにたたずんでいるときにこそその魅力は発揮されるような。あと彼女って髪型を少しイジっただけで、イメージがまったく違ってくるから不思議。

いや”引きの美学“はこの作品全体に言えることかも。もっと喜怒哀楽を表出してもいいと思う場面においても、各人おしなべて感情を抑え冷静に言葉をならべる。このあたりは今泉作品に共通する特徴、ふつうなら5分のやりとりで済むシーンをじっくりと10分で表現、ただけっして冗長には感じさせないきめの細かい演出とでもいうか。

コロナ禍による公開延期等あるものの、「あの頃」「街の上で」に続くことし3作目の今泉作品。さらに来年早々に新作と脚本担当作品が待機と、このところ毎年”今泉祭り“が続いているような多作ぶり。間を置いたささやかなセリフのやりとりには想像力が刺激されてばかり。いまもっとも注目すべき監督のひとりだと思います。
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