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2021年10月15日16:00

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「コレクティブ 国家の嘘」〜対岸の火事か他山の石か

腐敗したルーマニアの医療体制を暴くドキュメンタリー。2015年、ブカレストのライブハウス「コレクティブ」がライブ演奏中に出火、死者27名・負傷者180名を出す大惨事となる。冒頭にはおそらくライブの様子を撮影中だったのだろう、火災発生直後の場内の様子が映し出され、その生々しさに観る側は先制パンチを食らう。

ところが事の本題はこの大惨事の責任追及ではない。一命を取りとめたはずの被害者が、やがて入院先いくつかの病院で次々と死亡、最終的には64名がこの世を去ってしまった。この不可解な現象を疑問に感じた地元スポーツ紙の記者たちは調査を開始、やがてその背後に国家権力にまで届く大きな闇があることを突き止める。

ドキュメンタリーにありがちなナレーションもインタビューもいっさいなし。あまりにも自然な映像の連続、登場人物もまるで役者がふるまっているかのよう、よくここまでカメラが自由に入りこめたなと。ドキュメンタリーを中心に撮るある日本の映像作家の推薦コピー「このアングルがほしいと何度思ったことか」という一文には納得。

医療体制の不備による犠牲者や院内感染の拡大、病院と製薬会社そして政治家の癒着、そして目の前に迫る総選挙…事象だけをとらえれば、いまの日本と対をなす合わせ鏡。ただ、どこかでいくらなんでも日本はここまでヒドくないなと思ったりも。対岸の火事のままかそれとも他山の石とするか、それは観る側に委ねられたということです。
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