ほぼ5週間の時間をかけて、ようやく父親の新しい入れ歯が完成。T先生の訪問診療のスケジュールと、こちら側の勝手な都合をすり合わせると、どうしても週に1回程度しか進捗せず、もし父親がふつうに通院できていたなら、もっと早く済ませることができたのに申し訳ない、お手間をおかけしました、とT先生にまずはお礼の言葉。
すると先生は「いやいや最近(の入れ歯製作)は完全な分業制、ひとつひとつカタチのちゃうものを専門の技術者に委託しますんで、完成品の精度はようなりましたけど、かえって以前より時間かかってますわ」そして「そやからお父さんがふつうにウチまで通われとっても、そないに変わらんかったんとちゃいますか」とのこと。
たしかに時間は必要。前々回はまだ製作途上の入れ歯を父親の口にあてがい細部をチェック、「まあこれは服で言うたら仮縫いみたいなもんですわ」と。ここで服飾の縫製過程をたとえに出されたら、こちらもウマく返したい。「なるほど、入れ歯は究極のオーダーメイドですね」という言葉が浮かんだのは先生が帰ったあとだったけど。
今回のコストはしめて28540円。先生は5回の出張代や保険の効かない部分もふくめてなので、高くついて申し訳ないとえらく恐縮。こちらとしてはほぼ予想通りの金額だったので問題なし。父親は実に満足げな顔をしつつ「さすがはT先生、この町一番のお医者さんですな」と、ここにきて“歯の浮くような”セリフを口にしておりました。
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