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2021年10月09日15:15

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「ONODA 一万夜を越えて」〜コマンドを待つ30年

戦後29年目〜1974年に発見されるまで、上官の任務解除命令を待ちつつフィリピン・ルバング島において30年の日々を過ごした、小野田寛郎陸軍少尉の孤独な戦い。若き日の少尉役には遠藤雄弥、壮年期を演じるのが津田寛治。元上官役にイッセー尾形。完全なフランス製作の作品、監督もフランス人アルチュール・アラリ。

全編174分の長尺。仲間がひとりふたりとこの世を去っていく、中盤までのサバイバルな日常は凄まじいけれど、この尺は後半30分の感動のためにじっくり用意されたのものではないかと。冒険家の鈴木青年(仲野太賀)と小野田少尉が劇的なコンタクトをした瞬間から、物語はダイナミックに展開、スクリーンから目が離せなくなる。

どこまで事実に即しているのかわからないが、いきなり孤島にやってきた現代の日本人にとまどう少尉に、あっけらかんとしたアプローチを展開する鈴木青年が実に魅力的。昭和の時代にはめずらしい、いや昭和の時代だからこそ彼のような冒険家が存在したのか。他作品での好演もふくめ、ことしの助演男優賞は仲野太賀できまりかも。

我々の世代が小学生だったころの日本の重要な社会的事件を海外資本・製作・監督により映画化…「MINAMATA」と公開が続いたのは単なる偶然だろうか。大きな余韻が残る今回のラストシーン、それはまるで「ここから先はあんたら日本人のほうがよくご存知でしょ」と嫌味を言われているかのような気持ちにもなりました。
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