多くの賞に輝くブロードウェイミュージカルの映画化。マンハッタンの隅っこ、中南米諸国からの移民が多く暮らすワシントンハイツ。この人情に厚い街で育ったウスナビ(アンソニー・ラモス〜五郎丸歩ちょっと入り)たち4人の若者の夢と現実。「クレイジー・リッチ」監督、多色使いの得意なジョン・M・チュウがメガホン。
大停電まで何日というテロップを挟みながら、4人の現実を順に追っていく。素のドラマ部分もあるにはあるのだが、それ以上にラテンミュージックにラップをちりばめた、歌って踊ってのミュージカルパートがあまりにもパワフル。路上のみならず公営プール、美容院などを舞台にしつつ小技的アイデアも豊富、飽きることがいっさいない。
そして大停電。ここを機に物語は急カーブを切るかと思いきや、ワシントンハイツの住民はこの窮地にも一向にメゲない。このメゲなさに勇気づけられるせいか、多少の悲しみが織りまざる物語後半でも、観る側の気持ちは前のめりのまま、そして常にその底辺にはトランプ政権以前から長く続く移民の問題がしっかりと横たわっている。
いま目の前で繰り広げられているこのパワフルな大群舞シーンこそが、全編通じてのハイライトだろうと思っていたら、そのあとさらにゴージャスなシーンが待機していた…そんな繰り返しを魅力に思えた私には全編143分があっという間。ただ常日頃からミュージカルを苦手にするひとにとってはどう映るのか、みたいなことも感じました。
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