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2021年04月16日16:30

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「水を抱く女」〜現代ベルリンの幻想譚

ギリシャ神話「水の精:ウンディーネ」をモチーフにした、現代ドイツに生きる男女のはかない愛の物語。都市開発が専門、ベルリンの博物館でガイドとして働くウンディーネ(パウラ・ベーア)そして潜水作業員クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)。ふたりは思わぬところで運命的な出会いを果たし、すぐさま愛しあう仲となるが…。

物語が動き出すのは予告編でも最もインパクトのあったシーン。さあここからは現代のおとぎ話、ふたりの身に何が起きようと、リアリティの追及ならずという作り手のメッセージのような。男の側が潜水作業員なのだから当然と言えば当然だが、とにかく重要な場面にはすべて水が絡んでくる。なのでこの邦題は悪くないなと思う。
 
このギリシャ神話をあらかじめ知っていたほうが、より深く味わえるのは明白。チラシの裏に過去この神話をモチーフとした作品が、ゲーテから山岸涼子までずらっと列記。こちらはずかしながらまったく縁がなく、これって西洋人が「竹取物語」を知らないようなものか。“オンディーヌ”と同一ということさえ今回初めて知った次第。

ヒロインが都市開発の研究者しかもガイド職なので、ベルリンがたどった歴史をけっこう詳しく知ることができる。バッハの旋律が印象的とあるが、こちらはあるシーンで引用された有名なポップソングに注目。あの状況、日本では「もしもしかめよ」だったっけ。話が進むほどファンタジー要素がだんだんと強くなる愛憎の物語でした。
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