ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン初共演。19世紀の英国、海沿いの小さな町に暮らす古生物学者のメアリー(ウィンスレット)、そしてロンドンに住む化石収集家の妻シャーロット(ローナン)。夫が旅に出ることになったシャーロットはメアリーの元に身を寄せるも、ふたりの間には見えない壁、気まずい日々が続く…。
気持ちを寄せ合うふたりの女性、海岸沿いの静かな生活、起伏の少ない淡々としたタッチ…おそらくどの映画評も昨年公開のあるフランス映画を引用するはず。ただここは監督フランシス・リー前作、同じ英国でも荒涼とした大地を舞台とした若い男性ふたりの愛憎物語「ゴッズ・オウン・カントリー」と比較してみるのも面白いと思う。
今回の豪華共演、どちらかといえばシアーシャ・ローナンは物語のかき回し役、気難しい表情が最後まで印象に残ったケイト・ウィンスレットがその中心に存在する作品。彼女の前作はコニーアイランドを舞台にしたウディ・アレン作品だったし、若かったあのころから、常に水際に置いてこそ魅力があふれ出る女優ということなのか。
カジュアルという言葉とは無縁だった当時の英国ファッション、そして美しく明瞭な当時の話し言葉にも注目。何をおいてもロケーションや画面の構図、すべてがきまったラストシーンの切れ味には脱帽。化石を取りまく人間模様という題材に派手さを求めるのはいささかムリなぶん、実に味わい深い秀作が出来上がったように思います。
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