周囲との軋轢に悩む現代女性の生きづらさを描いて韓国で大ベストセラー、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュによる同名小説の映画化。チョン・ユミとコン・ユ、「新感染 ファイナル・エクスプレス」に出演していたふたりが夫婦役。原作との違いをあれこれ言われているけど、さほど気にならなかった。それともこちらが読み足らなかったのかも。
主人公ジヨンの言動にある変調が生じること以外は、それほどの起伏が待っていることもなく、食事の場面を中心にごくごく日常的な韓国の習慣を織りまぜつつ物語は進んでいく。もちろんこれは現代女性の誰もに起こりうることという意味。彼女たちが直面する辛さや痛みやいらだちが、まるでカタログのページをめくるかのように次々と呈示される。
国の彼我を問わず、女性なら共感できる部分は多々。さらに7〜80年代生まれであれば、物語は何度となく過去にさかのぼるので、自らのたどってきた日々と重ねあわせてみるのも一興。61年生まれ男性の私としては、少しの反省をふくめつつ思い当たるフシがいくつか。とりわけオフィス生活における男性同士のちょっとしたやりとりとか。
それにしてもこのご主人、ちょっと優しすぎないか…などと感じてしまう時点でもう現代男性としては失格なのかも。そしてこのところ観た「チィファの手紙」しかり「フェアウェル」しかり、日・中・韓、東アジア各国の生活環境にほとんど差がなくなってきたような。まあそれぞれある特定の階層だけをとらえた作品だと言われればそれまでだけど。
原作は「あるある」感が満載、父親から「女に学問はいらない」と言われて育ったわたしには、まるで自分のことが書かれているようでした。
映画は、思っていた以上に原作を生かして、エピソードもほぼ原作通り。
男性が育児休暇を取ると昇進に響く、なんてとこなど日韓は同様です。
ウチも「女に教育不要」家庭で、勉強よりお手伝い大事。受験期は妹と当番年としてやり過ごしました。