「メイキング・オブ・モータウン」〜ベリーとスモーキー回顧譚

昨年創立60周年を迎えた音楽レーベル・モータウン、その偉大な歴史をたどったドキュメンタリー。いわゆる“モータウンもの“映像作品は過去にもいくつかあったけど、今回は創設者ベリー・ゴーディの視点にて描く。商業的価値を優先した彼にたいする是非は別として、やっぱり野心に満ちて他者に打ち勝ってきたひとだなあと確信。

基本的にはスタジオ内でのベリーと朋友スモーキー・ロビンソンの回顧的やりとりがベース。どちらがボケ・ツッコミということはないけれど、ときおり回想モードに入るやそろってハイテンションになるのが微笑ましい。関係者へのインタビューすべてがこの作品のために撮られたものではないので、すでに亡くなった人物も何名か登場。

誰もが知るモータウンの代表曲いくつかは、その制作過程をていねいに描いていく。いわゆる名曲誕生の瞬間、その曲が直後に流れるや実にしみじみとした気持ちになる。人種差別や性差別のないレコード会社だったことを強調、現在まで続く黒人差別の問題にも、社会的著名人を何名か登場させることによって理解を示している。

マーヴィン・ゲイはどこまでもクールだし、ダイアナ・ロスは誰よりもチャーミング、そしてマイケルは果てしなく可愛い。でももっともカッコいいと思ったのは、やっぱりモノクロ映像に残ったミラクルズ、テンプス、フォー・トップス〜60年代コーラスグループの熱いステージアクション、いついつまでも観ていたいと思いました。